これ、韓国映画だけど、オリンピックではスポーツの話しかしないように、ここでは映画の話だけしよう。
賛成。
ということで、このファン・ドンヒョク監督の韓国映画、相当えげつない描写があって、日本人ならそこまではやらないだろうとは思うけど、一方でその神経を逆なでするような描写が韓国映画の力になっているのかなって気もする。
描写の話の前にこれ、事実に基づいた映画だからね。ほんとにこんなことがあったのかと思うと映画の出来うんぬんの前に暗澹たる気持ちになるわね。
聴覚障害者学校の教師による児童虐待の話なんだけど、学校ぐるみ、社会ぐるみ、だからな。
警察、司法、弁護士、みんなグル。まるでよくできた三流ドラマを観ているよう。
日本でこんなことが起きるのかどうか知らないけど、もし起きたとしてそれを正面から映画にする度胸があるかどうか。
社会的な事件を映画化するって、昔はよくあったのに、最近はほとんど聞かないわね。
福島の事件だって、ドキュメンタリー映画にはなってるけど、それをもたらした社会悪を告発する映画の企画の話なんてほとんど聞かない。
これから出てくるのかしら。
しかも、そういう題材をを固い社会派映画ではなく、エンターテインメントにしてしまう臆面のなさがいまの韓国映画にはある。
法廷での駆け引きとか、少年が敵討ちに向うとか、ドラマチックすぎて、これは事実をふくらましたというより明らかなフィクションだろうというような展開になっていくんだけど、それでもいいんだっていうなりふり構わない感じがあって、圧倒される。
それ、それ。その力づく感が韓国映画にはかなわないやっていうような気持ちにさせる。
それにしても、映画としての骨太感には久々に打たれたわ。
子どもたちが信じがたいくらい真に迫った演技をする。
正視できないほどね。
それを正視しろっていうのが、韓国映画なんだ。
この映画がきっかけで本物の事件が再捜査されたっていうんだから凄い。
いまの日本映画にそれだけの力があるのかっていうことだ。