部活を中心に高校生たちの生態を描いた群像映画。監督は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田大八。
高校生の話っていうとすぐいじめの問題とか出てくるのかと思うけど、そういうあからさまな設定じゃないのがよかった。
高校生たちのモヤモヤ感が映画になってる。
その心の空洞を不在の桐島で象徴させる。原作の功だろうけど、うまい構造。
いま売り出し中の若手俳優たちがそれぞれに見せ場をつくりながら少しずつ時空をずらして展開していく、ささやかだけれど彼らにとっては世界より大事な物語。
バスケ部、バドミントン部、吹奏楽部、映画部、そして帰宅部。
けれど、いちばん心に響いたのは、脇役にすぎないはずの野球部のキャプテン。
「三年生になるのにどうして引退しないんだ」と聞かれたときの浮世離れしたひとこと。あれにはグッとくるわよね。
本筋とは何の関係もないのに、というか本筋と関係のない唐突さがよかったのか、あの場面には気持ちが揺さぶられた。
何か青春の本質にぶち当たってしまったような、バカだなあ、でもわかるぜその気持ち、的な感覚ね。
“青春”なんて口にすると限りなく嘘くさいことばになってしまうんだけど、「檸檬のころ」とか「ひゃくはち」とか「夜のピクニック」とか青春映画だからこその脆くもこっ恥ずかしい映画の系譜というのは連綿とあって、この映画もその系譜にきっちりとはまった気がする。
映画の出来がいい悪いを超えて、どうしても甘酸っぱい思いが残ってしまう映画群ね。
無知で惨めで鈍く輝いていた日々を思い出してしまう映画。
いい年をしてね。
いい年だからかもしれないな。
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