休職者の復職時の対応について
あるとき、メンタルに陥っていた職員から、回復したとの診断書とともに、職場に復帰したいとの申し出がありました。私と上司とで面談したところ、話しをしていてとても職場に復帰するような状態ではないことが分かりました。職員の配置された職場は、いろんな要求・要望があり、それに対処するためには、とてもそれが出来得る状態に回復したとは思えなかったのです。もちろん、軽度の仕事があれば、その仕事から慣らしていくという方法もありますし、裁判例などを見ますと、原則は元の職場の復帰ですが、他の仕事が出来そうなときは、そこから行うべしとのようです。しかし、それにしても、うちの一般の仕事さえもできるような状態ではありませんでした。
主治医の診断書には、主治医は、その患者本人の回復状況を見て、職場に復帰してもよいという診断書を書くわけですが、主治医の診断書には、本人の復帰したいという意見が多分に入っていますし、また、その職場がどんなふうに厳しい職場であるかは知っているわけではないのです。また、本人が本人のとらえた職場の状況を伝えているわけですから、必ずしも中立的な情報が主治医に伝わっているとは限りません、
私も上司も事務屋さんでしたので、産業医の目から見た診断書を書いてもらい、休職を延期させていただきました。
復帰するかの最終的な判断は、職場の長です。その際の判断の材料となる意見として、診断書があるわけです。その診断書の意見が、産業医と主治医の意見が異なることになりました。
産業医とは、50人以上の就業員がいる職場には必ずおかなければならないものですが、産業医の職務は、労働安全衛生規則第14条で決められており、1、健康診断及び面接指導等の実施、その結果に基づき労働者の健康を保持するための措置 2、作業環境の維持管理 3作業の管理、4、それ以外の労働者の健康管理 5、健康教育、健康相談、その他労働者の健康の保持増進を図るための措置 6 衛生教育 7 健康障害の原因の調査・再発防止 となっています。また、特別の研修を受けてないと産業医にはなれません。
メンタルの健康面においても、同様ですので、その職場の状況を知り、復帰できるかどうかの総合的な判断をするのは、やはり産業医ということになります。産業医は「当該職場の状況を前提に医学的側面から復職可否の診断を行うことが期待しうる立場にあります。主治医に『復職可能』」との診断書の記載に疑問がある場合等、主治医の診断書があっても、明らかに復職可能と判断できない場合は。産業医の意見を確認」すべきとされます。(以上「 」書きは、労働法実務Q&A・労働行政研究所)
裁判例においても、2年近く休職をしたのちに復職を申し出て拒否された大型貨物運転手の場合で、主治医(就労可能)と産業医(就労不能)の診断で分かれたケースで、裁判所は、産業医の診断に正当性を認めています。(カントラ事件、平14.6.19大阪高裁)
なお、小規模(従業員10人未満)で産業医の選任が必要でないところで、産業医の診断が必要になったときには、地域産業保健センター(労基署ごとに配置)で相談に応じてくれます。
参考;労働法実務Q&A(下) 財団法人労務行政研究所編 ㈱労務行政発行
あるとき、メンタルに陥っていた職員から、回復したとの診断書とともに、職場に復帰したいとの申し出がありました。私と上司とで面談したところ、話しをしていてとても職場に復帰するような状態ではないことが分かりました。職員の配置された職場は、いろんな要求・要望があり、それに対処するためには、とてもそれが出来得る状態に回復したとは思えなかったのです。もちろん、軽度の仕事があれば、その仕事から慣らしていくという方法もありますし、裁判例などを見ますと、原則は元の職場の復帰ですが、他の仕事が出来そうなときは、そこから行うべしとのようです。しかし、それにしても、うちの一般の仕事さえもできるような状態ではありませんでした。
主治医の診断書には、主治医は、その患者本人の回復状況を見て、職場に復帰してもよいという診断書を書くわけですが、主治医の診断書には、本人の復帰したいという意見が多分に入っていますし、また、その職場がどんなふうに厳しい職場であるかは知っているわけではないのです。また、本人が本人のとらえた職場の状況を伝えているわけですから、必ずしも中立的な情報が主治医に伝わっているとは限りません、
私も上司も事務屋さんでしたので、産業医の目から見た診断書を書いてもらい、休職を延期させていただきました。
復帰するかの最終的な判断は、職場の長です。その際の判断の材料となる意見として、診断書があるわけです。その診断書の意見が、産業医と主治医の意見が異なることになりました。
産業医とは、50人以上の就業員がいる職場には必ずおかなければならないものですが、産業医の職務は、労働安全衛生規則第14条で決められており、1、健康診断及び面接指導等の実施、その結果に基づき労働者の健康を保持するための措置 2、作業環境の維持管理 3作業の管理、4、それ以外の労働者の健康管理 5、健康教育、健康相談、その他労働者の健康の保持増進を図るための措置 6 衛生教育 7 健康障害の原因の調査・再発防止 となっています。また、特別の研修を受けてないと産業医にはなれません。
メンタルの健康面においても、同様ですので、その職場の状況を知り、復帰できるかどうかの総合的な判断をするのは、やはり産業医ということになります。産業医は「当該職場の状況を前提に医学的側面から復職可否の診断を行うことが期待しうる立場にあります。主治医に『復職可能』」との診断書の記載に疑問がある場合等、主治医の診断書があっても、明らかに復職可能と判断できない場合は。産業医の意見を確認」すべきとされます。(以上「 」書きは、労働法実務Q&A・労働行政研究所)
裁判例においても、2年近く休職をしたのちに復職を申し出て拒否された大型貨物運転手の場合で、主治医(就労可能)と産業医(就労不能)の診断で分かれたケースで、裁判所は、産業医の診断に正当性を認めています。(カントラ事件、平14.6.19大阪高裁)
なお、小規模(従業員10人未満)で産業医の選任が必要でないところで、産業医の診断が必要になったときには、地域産業保健センター(労基署ごとに配置)で相談に応じてくれます。
参考;労働法実務Q&A(下) 財団法人労務行政研究所編 ㈱労務行政発行