元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

会社の通勤手当届け出と異なる通勤経路・方法による労災の「通勤災害」は、認められるか?

2012-12-08 07:35:33 | 社会保険労務士
 合理的な通勤経路・方法であれば、通勤災害(労災)として認められます
 
 よくありそうな例として、次のようなことがあります。

 A子さんは、自宅に近い○○駅から会社に通っており、その旨の届け出を行い通勤手当をもらっています。子供が生まれてから会社に通うようになってからは、保育園に自転車で子供を預け、そこから近い一つ先の××駅(会社に近くなります。)から会社に通っていました。この通勤の変更はことは、会社に届け出はしていません。
 ある日、××駅の階段で転んで骨折してしまいました。
 

 この場合にも、労災の通勤災害は、認定されます。

 
 労災の「通勤災害」とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との往復等を、合理的な経路及び方法により行うことをいう(労災法7-2)とされています。この「合理的な経路及び方法」とは、一般に労働者が用いると認められるものとされていますが、社会通念上、一般に通行するであろう経路、社会通念上一般に是認されうると考えられる方法のことをいいます。なかなか使わないことばがならんでいますが、一般的に常識的に考えて、通行する経路、常識的に考えて認められる方法と考えられます。具体例を挙げたほうが分かりやすいのではないかと思います。

 無用な回り道であるとはかダメで、合理的な経路とは言えず、また、無免許者のマイカー通勤や普段様式上歩かない鉄道線路の通行など交通禁止区域の通行などは、合理的な方法とはいえません。

 先の問題ですが、会社に申請している通勤方法と異なっても、それが通常用いられる方法であれば問題はないとされます。

 そこで、ほかに子を監護する者がいない共稼労働者が託児所、親戚等に預けるためにとる経路などは、そのような立場にある労働者であれば、当然、就業のためにとらざるを得ない経路であるので、合理的な経路であると認められるとされています。(644号通達)

 ただ、会社は、普通には、通勤経路の変更の報告を義務付けていますので、会社への報告義務違反となります。わざと通勤手当を過大にもらうために、故意に報告をしていないのであれば、懲戒処分の対象にはなるでしょうが、単に届け出を忘れているとか、そこまで考えていなかったという場合であれば、注意程度で済むと思われます。会社の就業規則の問題でしょうから、会社により考え方は分かれるところでしょうが・・・

 ただし、民法上の不当利得の問題として、その間に実際の通勤手当よりも実際過大に利益を得ていた場合は、戻さなければならなくなるかもしれません。

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