元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

派遣労働者に対して派遣先は契約期間中に就業場所の変更をかってにはできない!!

2016-05-07 18:31:14 | 社会保険労務士
 出張や訪問販売が主体の業務の場合は、就業場所の変更(派遣契約違反)といえるのか

 かって、私が病院の医事係長だった頃、医事業務のコンピューター化を行うということで、その入力作業人員が足りないということになり、派遣法による派遣職員を派遣してもらいました。「もらいました」と表現は、人事担当の総務課が派遣法の手続きをした上、当時は労働者派遣法が出来たばっかりの時代で、自分は業務に忙しく、派遣職員がどういうものかわからずに(勉強しなかった言い訳ですが・・・)、その派遣された職員を使用するという事態になったのです。

 確かに、派遣法の本質は、雇用と指揮命令の分離であり、派遣された部署で、派遣職員が派遣された担当係である医事係長の業務命令に従っている間は、派遣法の範囲であり、今考えてみても、特段問題はなかったようです。

 今思えば、派遣法も知らず、まさに冷汗ものです。私、医事係長本人は、全く病院の職員と同様に、働いてもらっていましたが、それは派遣された職場内でのことで、総務課の職員にとっては、法的手続き等違ったものになっていたのでしょう。

 病院の職員と同様に働いてもらうといいましたが、指揮命令は、派遣先に属しますから、問題ないのですが、それ以外のものになると話は別です。

 例えば、病院の一般職員は、就業規則に就業場所の変更有との一行があれば、簡単に配置転換ができますが、派遣職員は派遣元の職員であって、病院の一般職員と同様に簡単には異動させることは、例え仕事の内容は同じであっても、できません。はじめから整理すると、派遣職員は、派遣元の職員であり、その派遣職員は派遣元と派遣先である病院の派遣契約によって派遣されているところであり、その派遣契約の締結に際し、次のような事項を定めるとされています。(派遣法26条)
 
 <派遣に関して>業務の内容、事業所の名称、所在地、派遣就業の場所、直接指揮命令する者に関する事、就業の開始・終業の時刻・休憩時間、苦情処理に関する事など
 
 そうです、派遣の際の派遣契約で就業の場所は決まっているわけですし、かってに派遣先である病院の都合で変更することはできないことになります。さらに、派遣元としては、この派遣契約で決まった事項について、派遣労働者に対して、派遣する際に、明示しなければなりません。(派遣法34条)その中に、当然、就業の場所も含まれています。

 さらに、派遣先が派遣契約を変更することなしに、就業場所を変更することは、派遣契約違反となり、派遣元は合法的に解約できることになっています。(派遣法28条)
 
 では派遣先である病院側はどうすればいいのかですが、就業場所の変更について、派遣元との合意により派遣契約を変更した上で、派遣元から派遣労働者に伝えて、異動してもらうことになります。

 それでは、派遣労働者に出張してもらうとか、派遣業務の内容が訪問販売などの場合は、就業場所の変更になり、派遣契約の違反となるのでしょうか。出張や訪問販売が派遣業務の範囲に含まれていることを明示すれば、行ってもらう業務の中に付随するものと考えられますので、可能であると考えられます。そこで、派遣契約の中に、業務の内容として含まれることを、明確に記しておけば良いことになります。


 参考 「最新版 改正労働者派遣法がわかる本」 大槻哲也監修 著者加藤利明 発行所成実堂出版 

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