元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

アルバイトの労働法の位置づけ・対応<解雇権濫用法理は非適用、最低賃金は適用など>

2015-05-31 15:46:31 | 社会保険労務士
<労基法の労働者であるため最低賃金・30日前の予告等は適用になる>

 学生時代は、アルバイトはあまりしなかったが、それでも力仕事のやり手がなくてよく頼まれて、砂糖工場やクジラの冷凍倉庫などに出入りして、砂糖の袋のカート運搬作業やクジラ肉の倉庫での上げ下げを行っていたし、またデパートで夜間に広告・掲示物の取り換え等をしたこともある。今考えれば、なんでそれをしなければならないのかその仕事の目的を聞かずに、ただ言われたままに行っていたのが不思議でならない。

 このアルバイトは、時間的には、夜間とか、正規の社員と同じ時間に働くことはあっても常にということはなくて、長期間かつ持続的ということはない。もともと学生であれば学生が本分なので、使用者もアルバイト側も学業優先を基礎に、労働する時間を決定していた。今もこのアルバイトの本質は、変わらないとして、これからの議論をしていく。(ただし、今ではアルバイトにもブラック企業というものがあるそうだが、うん十年前ののどかな時代ではそんなものは考えられなかったと思う。)

 ここでいう、アルバイトの定義としては、学生やかけだしの芸人さん等で他に本業を持っていながら、生活の補助的収入を得る目的で就労する形態のことですので、企業側にアルバイトとして雇用される者であっても、生活の糧を得るための収入であるようなフリーター等とかは含めません。

 アルバイトが学生である場合、少なくても学生の間働くという条件が付くので、極端の話が卒業してからもここで働くということはありえず、労働契約期間の定めのない契約であっても、正規の社員と違い、長期労働契約の慣行も労使間の長期労働期間の取り決めの合意はされていないのが普通です。これは同様に、他の芸人さんにもいえることだと思われる。したがって、正規の雇用のように、日本の雇用システムが長期・終身雇用を採用し、その中で裁判所がその長期・終身雇用を前提に導き出した「使用者の解雇権」は「客観的に合理的な理由」がありかつ「社会的相当性」がなければみとめられないという解雇権の制限は、このアルバイトに限っては、まったくありません。アルバイトにあっては、この解雇権の制限(難しくいえば、これを「解雇権濫用法理」という。)はないので、この意味では全く自由な契約ということになります。

 ただ、労働基準法の労働者(事業に使用され、賃金を支払われる者)には変わりませんので、労働基準法20条の労働者を解雇するに当たっては、30日前の予告期間を置くか、30日以上の平均賃金の支払いが必要であるが、日々雇用(引く続き1か月超の場合除く)、2か月以内の期間の雇用(その所定期間を超えて引き続き雇用されるのは除く)、季節的業務に4か月以内の期間の雇用(その所定期間を超えて引き続き雇用されるのは除く)、試用期間の雇用(14日間超の場合を除く)には、この規定は適用されないので、アルバイトには該当する場合は少ないであろう。私のアルバイトしていた昔の頃も、アルバイトのプロと呼ばれる人がいたが、この同じ企業にお抱えのアルバイト的な人には、30日前の予告か平均賃金の支払いが必要になることになる。

 また、同様に労働基準法の労働者であるので、労働契約締結時の労働条件の明示(1契約期間、2労働契約更新の基準 3就業の場所・業務 4労働時間等、5賃金 6 退職)は必要ということにはなるし、さらに、一般の労働者の一週間の所定労働時間より短い短時間労働者の場合は、パートタイム労働法により、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」を書面で明示しなければなりません。賃金額も、最低賃金法で「最低賃金」以上は支払わなければならないことになります。しかし、就業時間等については、学業時間外の余暇を利用することになるので、その意味では、そう持続的に働くということは考えられず、休日等はあえて配慮の上、考えて与える必要はないようだ。(この点、先ほどのブラック化はもともと違反を承知で行っているので、論外である。)

 労働契約法17条では、期間の定めのある契約を結んだときには、「やむえない事由がある場合でなければ」、契約期間が満了するまでの間、使用者は労働者を解雇することはできないとされており、基本的には、労働契約期間が切れるのを待つということになります。やむを得ないとは、正規の労働者の解雇の事由よりもより狭く解されており、その労働契約期間中は雇用保障がより強くなっていますので、一般的には、契約期間が満了するまで待って、いわゆる「雇い止め」を行うということになります。

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