第34回ビジ法の2級の検定試験では、「消費者保護関係法」の問題は、特定商取引法(特商法)と割賦販売法(割販法)が出ておりました。今回は、その中から、割販法の問題です。
割賦販売法の消費者にとっての主な意義は、割賦販売についての「クーリングオフ」と「抗弁の接続」が規定されていることです。
抗弁権の接続とは、販売店は商品を販売する場合は、同時に販売店が信販会社の代理店等として、消費者と結ぶ契約は、販売業者との「商品売買契約」だけではなく、信販会社との「クレジット契約」も締結することがあります。この商品売買契約とクレジット契約は全く別物ですので、商品に欠陥があるなど瑕疵担保責任が販売業者にある場合は、信販業者には主張できないことになりますが、この主張を信販業者にも主張できるという規定が設けられていうのが、この抗弁権の接続というものです。瑕疵担保責任の他、錯誤無効、詐欺取り消し、同時履行の抗弁権などが主張できます。(下記「オ」の選択肢関連)
なお、「ウ」の選択肢は、消費者契約法を問う問題ですので、本当は、割賦販売法と消費者契約法の混合問題となっています。
第7問 7-3
消費者Xは、個別信用購入あっせん関係販売業者である販売店Yから、商品甲(20万円)を購入した。Xは、甲の購入に当たり、Yとの間で「個別信用購入あっせん関係販売契約」を、個別信用購入あっせん業者である信販会社Zとの間で「個別信用購入あっせん関係受領契約」をそれぞれ締結した。この場合の「個別信用購入あっせん」にかかわる取引に関する次のア~オの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを1~5の中から1つだけ選びなさい。
ア 消費者Xと販売者Yは、Yの営業所以外の場所において、甲のクレジット販売契約を締結した。この場合、Yが当該契約に関する所定の事項を記載した書面(個別信用購入あっせん関係販売業者等による書面)をXに交付すれば、信販会社Zは、立替払委託契約に関する所定の事項を記載した書面(個別信用購入あっせん業者による書面)をXに交付する義務を負わない。
イ 消費者Xは、販売店Yとの間で、Yの営業所以外の場所において、甲のクレジット販売契約を締結するに際し、Yから甲の性能について不実のことを告げられたことにより誤認して当該契約を締結したため、当該契約および立替払委託契約を取り消した。この場合、信販会社Zは、Xに対し、すでにXから受領した賦払金相当額を返還しなければならない。
ウ 消費者Xと販売者Yは、Yの営業所以外の場所において、甲のクレジット販売契約を締結し、Xは所定の書面の交付を受けた。この場合、Xは、所定の期間内に、書面により、クーリング・オフを交付し、当該契約を解除することができる。
エ 信販会社Zは、消費者Xが立替払委託契約に基づく賦払金の支払義務を履行しない場合において、Xに対し、割賦販売法に基づき、期間を定めて支払いを書面で催促し、その期間内にその義務が履行されないときは、賦払金の支払いの遅滞を理由として、当該契約を解除することができる。
オ 消費者Xは、販売者Yから、クレジット販売契約により甲を購入したが、当該契約はYの詐欺によるものであったため、当該契約を取り消した。その後、Xは、甲について、信販会社Zから立替払委託契約に基づき賦払金の支払いの請求を受けた。この場合、Xは、Yとの間のクレジット販売契約を取り消したことをもって、Zに対し、賦払金の支払いを拒否することはできない。
1 アイオ 2 アウエ 3 アウオ 4 イウエ 5 イエオ
<解説コメント>
7-3-ア × 信販会社との契約書面も必要です。
7-3-イ ○ そのとおり
7-3-ウ ○ そのとおり
7-3-エ ○ そのとおり
7-3-オ × クレジット販売契約を取り消したことをもって、不払いを拒否できる。(抗弁権の接続)
したがって、イウエが適切な文章であり、4が正解である。
⇒ <⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第1問~第5問)へ>
⇒ <⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第6問~第10問)へ>
割賦販売法の消費者にとっての主な意義は、割賦販売についての「クーリングオフ」と「抗弁の接続」が規定されていることです。
抗弁権の接続とは、販売店は商品を販売する場合は、同時に販売店が信販会社の代理店等として、消費者と結ぶ契約は、販売業者との「商品売買契約」だけではなく、信販会社との「クレジット契約」も締結することがあります。この商品売買契約とクレジット契約は全く別物ですので、商品に欠陥があるなど瑕疵担保責任が販売業者にある場合は、信販業者には主張できないことになりますが、この主張を信販業者にも主張できるという規定が設けられていうのが、この抗弁権の接続というものです。瑕疵担保責任の他、錯誤無効、詐欺取り消し、同時履行の抗弁権などが主張できます。(下記「オ」の選択肢関連)
なお、「ウ」の選択肢は、消費者契約法を問う問題ですので、本当は、割賦販売法と消費者契約法の混合問題となっています。
第7問 7-3
消費者Xは、個別信用購入あっせん関係販売業者である販売店Yから、商品甲(20万円)を購入した。Xは、甲の購入に当たり、Yとの間で「個別信用購入あっせん関係販売契約」を、個別信用購入あっせん業者である信販会社Zとの間で「個別信用購入あっせん関係受領契約」をそれぞれ締結した。この場合の「個別信用購入あっせん」にかかわる取引に関する次のア~オの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを1~5の中から1つだけ選びなさい。
ア 消費者Xと販売者Yは、Yの営業所以外の場所において、甲のクレジット販売契約を締結した。この場合、Yが当該契約に関する所定の事項を記載した書面(個別信用購入あっせん関係販売業者等による書面)をXに交付すれば、信販会社Zは、立替払委託契約に関する所定の事項を記載した書面(個別信用購入あっせん業者による書面)をXに交付する義務を負わない。
イ 消費者Xは、販売店Yとの間で、Yの営業所以外の場所において、甲のクレジット販売契約を締結するに際し、Yから甲の性能について不実のことを告げられたことにより誤認して当該契約を締結したため、当該契約および立替払委託契約を取り消した。この場合、信販会社Zは、Xに対し、すでにXから受領した賦払金相当額を返還しなければならない。
ウ 消費者Xと販売者Yは、Yの営業所以外の場所において、甲のクレジット販売契約を締結し、Xは所定の書面の交付を受けた。この場合、Xは、所定の期間内に、書面により、クーリング・オフを交付し、当該契約を解除することができる。
エ 信販会社Zは、消費者Xが立替払委託契約に基づく賦払金の支払義務を履行しない場合において、Xに対し、割賦販売法に基づき、期間を定めて支払いを書面で催促し、その期間内にその義務が履行されないときは、賦払金の支払いの遅滞を理由として、当該契約を解除することができる。
オ 消費者Xは、販売者Yから、クレジット販売契約により甲を購入したが、当該契約はYの詐欺によるものであったため、当該契約を取り消した。その後、Xは、甲について、信販会社Zから立替払委託契約に基づき賦払金の支払いの請求を受けた。この場合、Xは、Yとの間のクレジット販売契約を取り消したことをもって、Zに対し、賦払金の支払いを拒否することはできない。
1 アイオ 2 アウエ 3 アウオ 4 イウエ 5 イエオ
<解説コメント>
7-3-ア × 信販会社との契約書面も必要です。
7-3-イ ○ そのとおり
7-3-ウ ○ そのとおり
7-3-エ ○ そのとおり
7-3-オ × クレジット販売契約を取り消したことをもって、不払いを拒否できる。(抗弁権の接続)
したがって、イウエが適切な文章であり、4が正解である。
⇒ <⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第1問~第5問)へ>
⇒ <⇒第34回ビジネス法務検定の「解答」の「解説コメント」(第6問~第10問)へ>