元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

意見を聞く「過半数労働組合・過半数代表者」の適格性について<就業規則の作成・変更(4)>

2011-12-14 04:17:38 | 社会保険労務士
 過半数の代表者は、従業員の中から選出しなくてよいのか?

使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、過半数労働組合それがない場合に過半数代表者の意見を聞かなければならない。(労基法90条1項)

 この事業場の単位は、場所的な観念により決定されるものなので、工場、鉱山、事業所、店舗等の同一の場所にあるものは原則として1個の事業となり、場所的に分散しているものは原則として別箇の事業になるものとされています。○○株式会社全体でとらえるのでなく、○○店のように場所的に組織的な一体となった最小単位でとらえるということですが、現場事業所のない建設現場のように、規模が小さく独立性のないものは、上の組織の中に含まれることになります。また、工場の中の診療所のように、明らかに労働の態様が異なるときは、切り離して一つの事業所とするとなっています。
 
 これについては、なぜ企業全体を1適用単位としないのであろうか。これについては、安西愈氏は次のように述べていますので、参考までに、この全文を掲載します。
「これは、労基法が、場所的に一体となった、できるだけ作業現場に対応する労務人事管理の単位ごとに適用することが、現実的、効果的であり、実効も期すことができるという法の目的からである。つまり、労基法は作業現場の適用法令であることを原則とするからであって、その現実の職場や作業の種類に応じた適用をなそうとしているためであり、労働時間等についてもそれぞれの職場単位の実情に応じた適用を図り、また労働者の意見の反映を反映を活かそうという目的のためである。」(「労基法のポイント」安西愈)

 この事業所単位で、従業員の過半数を組織している労働組合であれば、OKです。企業別組合に限らず、地域レベルや産業別で組織されている組合もよいとされ、また、その事業場に支部や分会がない場合であっても、該当すると考えられています。

 また、上記事業所の概念を申し述べましたが、事務取り扱い上、簡略化したと思われるのに、次のような通達がありますので、これに沿っての届け出も可能です。
 「労働組合が単一組織である場合は、本社において労働組合本部の意見を徴収することとし、支部等の意見聴収を行わないこととしても差し支えない。ただし、当該事業場の労働者の過半数が本社において意見を徴収する労働組合に加入していない場合は、別に、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聞かなければならない」(昭和39.1.24 基収9243号)

 一方の過半数代表者についても、その事業所のおける従業員の過半数を代表する者であれば、良しとするものであるが、従業員の中から選出しなくていいものであろうか。これについて、法律上は、従業員の中から選出することは要件とされていないものの、その事業場に関係のない第3者に代表の権限を認めるのは問題があるということから、従業員の中から選出するのが望ましいとされています。(就業規則から見た労働法、大内伸哉著)


  

   #####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする