元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

就業規則の不利益変更の拘束力は、「労働組合等の交渉の状況」にも左右される!!

2011-12-12 04:33:13 | 社会保険労務士
 就業規則の作成・変更の届け出は、過半数労働組合等の意見書を添付するだけでよいのだが・・・

 労働基準法90条では、就業規則の作成・変更については、過半数労働組合、それがないときは過半数代表者の意見を聞かなければならないとされる。ここで、意見であって同意を求めてはいない(注1)ので、法律的には、過半数組合・代表者の意見が反対であっても、その旨の意見を記載した書面を就業規則に添付して届け出れば良いことになる。

 しかし、これは、就業規則の作成・変更(以下ひっくるめて「作成等」という。)について、使用者が作成等を行う就業規則には、なんら変わらないのであるが、少なくとも労働者の意見を聞かなければならないのであって、そうであればその作成等過程等において何らかの対応が必要になり、「実務上は、反対意見が出されればその理由を検討し、就業規則に反映させるか、労働者側に使用者の考え方を十分説明し理解を得るという対応が望ましい」(注2)とされている。

 就業規則については、労働組合等の意見書を添付して届け出を行えば、就業規則の届け出の性格は、時間外をさせても罰則を受けないという免罰効果があるという意味がある。しかし、別の観点から考えておかなければならないのであって、就業規則を変更しそれが労働者に不利益に働く場合には、その変更が拘束力を持つためには、労働契約法10条からいって、単に意見を聞けばいいのかという問題(注3)がある。

 労働契約法10条では、就業規則の労働者への不利益な変更の拘束力は、労働者への周知と変更された就業規則が合理的なものであることとされ、合理的とされるためには、「労働組合等との交渉の状況」が含まれているからである。ということは、不利益変更の条項が拘束力を持つためには、意見を聞くだけでは不十分で、なんらかの対応が必要になることになります。前々段の「」書きに記した、「実務上から・・・」に掲げた措置、すなわち、「反対意見の検討」や「使用者側の考えの理解」を得る等の対応が必要になってきます。

(注1)よけいなことではあるが、ここはよく社労士の試験問題に出るところで、確か20年度の試験問題で出題されて、同意か意見か分からなくなり、間違え悔しい思いをした経験がある。というのは、労基法の90条にこの規定があり、労基法95条には、寄宿舎に関する規定があり、その作成・変更においては、「寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意」を必要とするからである。心理学的には、後から習ったことが、鮮明に覚えており(単にちゃんと覚えていなかったいいわけであるが)誤ったのではないか。
 (注2)就業規則モデル条文 中山慈夫著 
 (注3)就業規則からみた労働法 大内伸哉著


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コメント
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