江別創造舎

活動コンセプト
「個が生き、個が活かされる地域(マチ)づくり」
「地域が生き、地域が活かされる人(ヒト)づくり」

地域間格差と南北の連絡網

2016年04月23日 | 歴史・文化

 市街地の発展、なかでも南北への膨らみは、自然環境問題とともにバス路線を含めた交通網の整備など、南北の一体的な市街地の形成、合わせて地域間格差是正が重要な行政課題として浮上しました。

 平成2年の市民生活環境意識調査でも明らかになった西高東低と同時に、歴史的に公共施設等、公共投資の集積が進む鉄北地区に対し、鉄南地区の遅れが指摘されてから久しい。

Sa議員   江別は、函館本線により南北に分断された形で市街地が形成されている。
      この分断された鉄北と鉄南における環境整備の状況は、鉄南地区が遅れている。
      格差は歴然としているので、今後とも解消に努めてほしい。

岡市長   歴史上の問題もあるが、鉄南地区が鉄北地区に比べると、公共施設の配置が遅れていることは認識      している。
      60年度からの新総合計画以降、道路、公園、下水道など逐次進めてまいりたい。

 さらに加えて、今後、南北へ伸びる新市街地への都市てき条件整備も重要な課題であることは明らかです。
こうした南北の地域間格差に加え、もう一つ厄介な問題がありました。
それは、江別の市街地の宿命といおうか、市街地がJR函館本線により南北に分断されていることです。
そのため、早くから南北連絡網の整備による南北市街地の一体的形成が住民要望として出されていました。

 例えば、55年5月、東野幌の住民からなるアンダーバス縦断道路建設期成会は、市道7丁目から鉄道をくぐって東野幌に通ずる道路建設の要望書を提出しました。
趣旨は、交通安全の確保などと同時に、函館本線を挟んで鉄北、鉄南の交流がスムーズにいかぬことから生ずる生活、経済、文化の向上が阻害されていることの解消、でした。
 この要望は、その後野幌鉄南地区全体の問題として取り上げられ、野幌橋上駅の設置促進、野幌10丁目旧鉄道踏切(跨線橋)の開設などとともに、繰り返し要望が出されることになりました。

 その後策定された江別市新総合計画・基本計画(60~69年度)の総合交通体系の確立の項におき、中原通りと新栄通り、文教通りと大麻(おおあさ)地区を結ぶ立体交差化の調査検討が明文化されました。
しかし、その実現までには財政問題を含め、越えなければならぬ高いハードルが横たわっていました。
いずれにしろ、鉄路によって市街地が二分されている江別の、その都市的な成熟のためには、3丁目、8丁目、16丁目など南北の連絡網をどう再構築していくか、それは南北格差の解消をも含む、大きな課題としてあり続けることになるでしょう。



註:江別市総務部「えべつ昭和史」786-787頁.
写真:JR野幌駅



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