Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

敗血症の症例数と予後

2014年09月23日 | 感染
先日のINTENSIVISTのセミナー関連シリーズ第2弾(もう続かないけど)。

Gaieski DF, Edwards JM, Kallan MJ, et al.
The Relationship between Hospital Volume and Mortality in Severe Sepsis.
Am J Respir Crit Care Med. 2014 Sep 15;190(6):665-74. PMID: 25117723.


アメリカの急性期病院の20%をカバーするデータベースを用い、914,000例の重症敗血症患者を対象にした観察研究。病院を敗血症の症例数で5群に分けた(1年の症例数が<50, 50-99, 100-249, 250-499, 500>)。その結果、一番少ない病因群に比べ、一番多い病院群では死亡のオッズ比が0.64だった。

その先日のセミナーで、
・敗血症は増えている
・敗血症の予後は改善している
と一般に言われているが、本当か?という話をしたんですよ(そんな日常臨床に関係のない話をしたら、講師4人の中で評価は最低でしたよ、ハッハッハ)。
それと似ているね。
症例数が異なる(病院によって、時代によって)という状況は、どうしてもselection biasがかかってる。重症度スコアとか臓器不全数とかでどんなに補正しても、完全には無くならない。
それに、仮に症例数が多いと予後が良くなるとしても、そのメカニズムが作用する閾値が分からない。もしかしたら、年に10例いるかどうかが閾値で、それ以上は増えても変わらないかもしれない。

この研究、一番最後の図で、臓器不全数と予後の関連について示しているのだけど、臓器不全数が4を超えると、施設間の差が無くなる。
それって、直感的にどうよ、と思う。逆であるべきじゃないのかな?

もし万が一、こんな話題に興味がある人がいたら、この文献のエディトリアルから孫引きすると、いろいろな文献に出会えそう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 誰のautonomy? | トップ | 敗血症による高乳酸血症 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

感染」カテゴリの最新記事