Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

Sepsis-3は頑強な定義ではない。

2019年09月11日 | 感染
Verboom DM, Frencken JF, Ong DSY, et al.
Robustness of sepsis-3 criteria in critically ill patients.
J Intensive Care. 2019 Aug 29;7:46. PMID: 31489199.


感染症疑いでICUに入室した症例がsepsisかどうかを臨床判断して、その判断とsepsis-3の一致を調べたら、一致率は50%強だった、という研究。

SIRSの概念およびそれによるsepsisの定義ができて、二つの良いことが起こったと記憶している。それは、
・トリガーは異なっても炎症によって同様の病態が起こるという考え方が広まった。
・定義が定まったことで敗血症の研究が飛躍的に進んだ。

臨床のため、目の前の患者さんのための定義じゃないんだよね。
それがSepsis-3になって、qSOFAなんてのもできちゃって、なんか、目の前の患者さんのために使うもの感が出てきてしまった。
この研究はその例。臨床判断との食い違いにどれだけの意味があるのか、よく分からない。

APACHEとかの重症度スコアもそう。臨床研究や施設の質評価とかに使うもの。
ICUにはそういうのがいろいろある。

噂によると、救急外来に感染症が来ると必ずqSOFAによる評価が行われ、それで敗血症の可能性が示唆されるとバタつくところがあるらしい。
ちょっと、行き過ぎじゃないかな。
コメント
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