Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

AKIと腎生検

2018年10月15日 | 腎臓
Korbet SM, Gashti CN, Evans JK, et al.
Risk of percutaneous renal biopsy of native kidneys in the evaluation of acute kidney injury.
Clin Kidney J. 2018 Oct;11(5):610-615. PMID: 30289129.


AKIで腎生検をした人と、それ以外の理由で腎生検をした人を比較して、合併症の発生頻度とか危険因子とかを検討した研究。

ICUでAKIになってもまず腎生検はしない。AKIの原因は比較的明確だし、リスクとの天秤でやらないと判断することが多いから。でもそのせいで、例えばseptic AKIだってずっと尿細管壊死が原因だなんて思われていたりとか、問題もなくはない。

なーんていう話をしたいのではなく、腎生検の合併症のリスク因子として収縮期血圧が多変量解析で残ったことに興味を持った。
これまで血圧については100回くらい書いてきた気がする(さすがに嘘です、ごめんなさい)。ほんと、こんなに普通に使っている言葉なのに、こんなに意味不明なものって、ICUでは他にないんじゃないかと思う。
例えば、出血が心配だから血圧を下げましょうなんて普通に言うけど、出血と血圧って本当に関係があるのか、あるとしたらいくつくらいでリスクは下がるのか、収縮期と拡張期と平均血圧のどれが出血のリスクとして重要なのか、測定方法によって得られる血圧って違うけどどうすればいいか、とか、いっぱい分からないことがある。
そんな中、収縮期血圧が出血のリスクですって書いてあって、そんな結果は滅多に見ないから、おおっと思ったのさ。でもdiscussionには全然触れられていなくて、残念。
コメント
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