超級龍熱

香港功夫映画と共に

英雄は生きるべきか?死すべきか?『ドラゴン怒りの鉄拳』伝説のラスト回想。

2022-04-18 09:40:39 | 闘神伝説~李小龍

『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)における、今も伝説のラストシーンとして広く知られる陳眞が物悲しげな怪鳥音と共に大飛翔してからのストップモーションのエンディング。
皆さんもご存知のように、このエンディングに関してはリーさんの「主人公である陳眞は生き残るべきだ!」と、監督である羅維の「いや例え恩師の復讐のためとはいえ多くの人間の命を奪った陳眞は自分の命でそれを償うべきだ!」と真っ向から意見が別れました。

結果、リーさんがアメリカ在住時に見た『明日に向かって撃て!』(69)のポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが銃弾の雨に突っ込んでいくエンディングを巧みにアレンジした上記の大飛翔のエンディングという圧巻のラストとなり『〜怒りの鉄拳』は李小龍不滅の最高傑作となりました。
ただここで改めて重要なのがリーさん演じる陳眞がニューマンやレッドフォードのようにカメラに向かって銃を撃ちまくりながら走り出すエンディングではなく、精武館をバックに怪鳥音の雄叫び諸共、高々とジャンプするストップモーションのエンディングを撮った事です。
この大飛翔のエンディングをストップモーションとした事で、私たち観客は“精武英雄”陳眞が自らの命と引き換えに精武館を存続させ、そのまま雄々しく天に召されていくイメージをハッキリと思い浮かべると同時に、その崇高なる犠牲的精神に深い感動を感じる事が出来たからです。
それが証拠に4年後に同じ羅維監督が撮った成龍主演『レッドドラゴン/新・怒りの鉄拳』(76)でも成龍演じる阿龍がラストで陳眞と同じように銃弾の雨に倒れますが、この時は何故か大飛翔ではなく、阿龍がその場で立ち尽くした状態で銃弾を浴びる設定にしてしまったため、前作『〜怒りの鉄拳』の陳眞のような崇高な感動を生む事もなく、ただ悲壮感と後味の悪いエンディングとなってしまったのでした。
そういう意味でも『ドラゴン怒りの鉄拳』はご覧のように自身も警察署長役で出演もした羅維監督にとって、まさに全てが完璧に仕上がった映画人羅維のベストワークでもあったのです。

Legendary ending from Fist of Fury.

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