
「ドラゴン怒りの鉄拳」(72)から虹口道場に乗り込んだ精武館の“一番出来の悪い弟子”陳眞。陳眞の後ろに飾られた写真は近代日本柔道の象徴とされる某先生でしょうか。
1974年の「〜怒りの鉄拳」ロードショー公開時に今は無き映画館渋谷宝塚で同作を観た龍熱少年は、この映画の悪役が日本人である事はすぐに分かりましたが、余り気になりませんでした。と言うより、劇中のリーさんこと李小龍演じる陳眞の鬼気迫る佇まいにひたすら圧倒されてしまい、そんな事を気にしてる暇が無かったのが本音でした。
むしろ同じ時期に銀座で観た「帰って来たドラゴン」(74)で倉田保昭さん演じるブラックジャガーが悪役だった事の方がショックでした😅。ただそうは言っても、この虹口道場のシーンでは「起倒流」の看板もシッカリ映りますし、公開当時同流派からよく抗議が来なかったと思います。
実際1994年にドニー兄貴こと甄子丹主演のリメイク電視劇「精武門」(94)放送時には某沖縄流派から強い抗議が来まして、それを知ったドニー兄貴が「そんな事言われてもこれはあくまでもドラマなんだからさ!💢」とムッとするという顛末もありました😂。
余談ですが、この「ドラゴン怒りの鉄拳」のベースとなっている1900年代初頭に起きた“霍元甲事件”ですが、確かに霍元甲が日本人武道家と“非友好的”な試合を行った後に持病を悪化させて急逝したのは事実です。
ただそれが霍師父に敗北(正確には腕を骨折)した事を恨んだ日本人側が毒殺した、は何の根拠もない風評であった事をここに明記しておきたいと思います。
実はこの“霍元甲毒殺説”は某武侠小説が元ネタで、それが中国や香港に爆発的に広まった事により「霍元甲は日本人に毒殺された!」が定着してしまい、あげくは霍師父を毒殺したとされる日本人医師Aの名前まで文献に明記されるまでに至ったのは日本と中国の両国にとって大変残念な事でした。
最後にこの「霍元甲を暗殺したのは日本人」説の汚名返上に長年尽力された中国武術研究家の笠尾楊柳先生は、1972年当時まだ李小龍が存命中に台湾の映画館で「ドラゴン怒りの鉄拳」をリアルタイムで観ている数少ない日本人でした。
その台湾の映画館で「〜怒りの鉄拳」上映後、笠尾先生の隣に座っていた中国人男性が「日本人ですね?この映画は日本人が悪役だから気分悪かったでしょう?」と声をかけて来たそうです。笠尾先生はその中国男性に向き直ると、毅然とこう答えたそうです。
笠尾「いや日本人だろうと、中国人だろうと、良い人間は良いし、悪い人間は悪いんだ!」
I'm Chen Jen.A badest disciple from Chin Wu School.I want your master Suzuki!!