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この限りない怪獣愛!村瀬継蔵総監督作品『カミノフデ〜怪獣たちのいる島』来月公開!

2024-06-15 11:03:39 | 作品レビュー
さて、昨日は都内某所で村瀬継蔵総監督、鈴木梨央主演『カミノフデ〜怪獣たちのいる島』(24)を試写で観て来ました。
村瀬継蔵監督と言えば、日本では東宝作品『大怪獣バラン』(58)や『キングコング対ゴジラ』(62)の造形助手に始まり、造形会社「エキスプロダクション」を設立し東映の『仮面ライダー』など特撮ヒーローの造形を数多く手掛けた日本特撮界の偉人です。
村瀬監督は他にも大映の『大怪獣ガメラ』(65)や『大魔神』(66)の造形に加えて、韓国、香港、台湾に招かれ『大怪獣ヨンガリ』(67)、邵氏公司作品で狄龍主演『蛇王子』(76)や李修賢主演『北京原人の逆襲』(77)などの造形やスーツアクターも担当、と実に偉大かつ多才なキャリアを持つ映画人です。

映画は特殊美術の大家時宮健三(佐野史郎)が亡くなり、時宮の孫娘朱莉(鈴木梨央)が時宮が残した数々の特撮造形品を展示するお別れ会を訪れる場面から始まります。
そこから朱莉の前に現れた謎の男性穂積(斉藤工)が朱莉に明かした時宮の未完成特撮作品『神の筆』に端を発した不思議で、そして壮大な夢物語が展開されていきます。
映画の冒頭にレトロチック処理された映像で登場する特撮作品『復讐の巨大原人』は明らかに『北京原人の逆襲』のオマージュで、そこから映画の随所に出てくる特撮映画に対する深い愛情が込められたシーンは特撮ファンには溜まらない世界観でしょう。

ただ欲を言えば、この限りない特撮愛に溢れた作品をもう少しハイバジェットで撮らせてあげたかった。それはクライマックスのヒーロー☓ヤマタノオロチの胸踊る決戦シーンを観ながら改めて強く思いました。余談ですが、梨央の母親役で『ゴジラ対メカゴジラ』(02)で“機龍”の操縦者を快演した釈由美子が出演していて嬉しかったなぁ。

最後に私は村瀬監督が田野主演の台湾映画『乾坤三決闘』(69)にも参加されていた事は本作『カミノフデ〜』を観て初めて知りました。
また『北京原人の逆襲』のクライマックスで北京原人が火達磨で落下するシーンを村瀬監督自身が北京原人のスーツを着てやる羽目になったのは、本来の北京原人のスーツアクターだった袁祥仁が「俺はそんなヤバいシーンをやるのはご免だ!」と拒否したためでした。

この『カミノフデ〜怪獣たちのいる島』は7月26日からTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー公開との事です。

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