5年前に出産したときに、はじめて「入院」というものを体験したのですが、そのときの入院経験がのちに「ケアスタッフ」という職業を選ぶ動機のひとつになったことは否めません。それまで病気知らずで医者にかかることもなかった私にとって、たった1週間の入院でもカルチャーショックの連続!出産というひとつの大仕事を終えて、なにもかもはじめて状態の私たち患者に対し親身になってお世話をしてくださるスタッフの方々の姿は、「なんで私、看護師の道に進まへんかんたんやろ・・・」と思わせるほど輝ける存在でした。
そしてあれから5年・・・再び同じ病院に入院することになったのですが・・・病棟は新しくなって最新鋭の設備が導入されていたり、当たり前といえば当たり前ですが5年のうちに病棟のスタッフはほとんど替わってしまっていて(5年前から勤務されているスタッフの方は、たったひとりだけでした)・・・それでも今回の入院でも、ケアを受ける側、する側両方の立場からものごとを見ることができてとても有意義な入院期間を過ごしました。
いちばん反省したのは、コールの対応。ホームでは、居室からのコールには「お待ちください」とか「どうされましたか?」などと答えていました。それがごく普通のやりとりだと思っていたのですが、実際自分がコールでスタッフを呼びたいとき「どうされましたか?」と聞かれても、相部屋だと言い辛いこともあるのです。私でさえそうなのですから、ましてやお年寄りの場合ただでさえ言いづらい排泄などのことだと、コールを通して訴えるのはよほどの覚悟が必要かも・・・。私の入院先の病院では、コール対応は「伺います」に統一されていました。「お待ちください」だと、待っていればいつかはきてくれるんだろうけどいつになるのだろう?」と不安になってしまいますが、「伺います」といわれれば「あぁ、来てくれるんだな」と安心して待っていることができますよね。
日本語のちょっとした言い方の差ではあるけれど、患者さんの心に沿った対応をすることで、不安な入院生活を少しでも快適に過ごせるようになるものなんだということを改めて感じました。当分は仕事をしないけど、もしもこの先コールをとることが来たら、「お待ちください」ではなく「伺います」と答えたいです。