永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

町角を探して歩く。

2010-06-23 05:51:51 | アート・文化
この路をツーツーと真直ぐ歩いて、あの角を右に曲り、10mほど歩いたら左に小さい路地が見えて、そこを折れてはいりグニャグニャ曲りくねった細い路を方向を定めながら歩くけれど、町歩きは闇雲にただただ無目的に歩くのがいいようです。


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海峡の町。〈C〉永野宏三


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木屋瀬の町。〈C〉永野宏三



町のこと。町のかたち。

2010-06-22 05:52:06 | アート・文化
日曜のBS番組で全国各地で行われている町おこしと、それを表彰する活動が紹介されていました。福岡県は田川の『炭鉱まつり』が奨励賞となっていました。田川はいわゆるカソの典型的な町ですが、見方によっては静かで自然が豊かでほどよく商業施設も整っている町です。昔ながらの中心商店街が時代の変貌でカソ化しているから、祭りというハレの舞台で町の賑わいづくりを演出しているのでしょう。大都会を除きどこの自治体も同じです。
でも、大都会でも町の中のカソが出現しているねじれた町の様子が伺える時代になってきています。再開発と言う名のもとに町を作りかえて再開発された地域は陽があたりますが、どうしても裏通りなどには影がさして元気がなくなるのでしょう。
もっともニッポン全国どこでも毎日のようにどんどん町が変わっていますけど、そのかわり人がいなくなる地域は町の様子は変わらないことになっているらしいです。こいうことをカソ地というのでしょうか。ぼくの子どものころ昭和30年代には、住んでいる町にカソの言葉なんかないし聞いたこともありません。
ぼくの住んでいる門司の町も、門司港駅前を中心にした観光地や、門司駅北側地区の再開発地域も、大小のイベントを仕掛けて非日常的ハレの舞台をつくっています。ところが山手の昔ながらの町は日中でも人の姿が見えません。いわゆる町の中のカソになってしまっています。でも、そういう町を歩き佇んでみると、建物の形、瓦葺きの屋根、路地のかたちと町の様子が昔と変わっていなくどこか安心しています。ねじれ現象はいい意味で、本来の町の貌に還っていくことを暗示しているようにも思えてきます。




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海峡の町。〈C〉永野宏三



曇後晴曇雨。

2010-06-20 17:04:04 | 日記・エッセイ・コラム
6月20日・日曜日。先勝。水無月も後半に入る。つかの間の雨上がり。夕方近くから再び雨のはじまり。田植えは本番と思われる。その昔、この時期、地域によっては豊作を祈り餅をついていたという。そして今日は父の日。よくわからないイベント行事。飼猫の食用草を求めにホームセンターへ行く。ついでに大作を描くための下書き用に模造紙も購入。若い店員に模造紙が置いてある場所を尋ねるが、模造紙そのものの言葉を知らない様子。「今どきのこれで勤まるあきんどかな」。


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戸畑のあやめ。〈C〉永野宏三




回帰して進化する世界。

2010-06-19 05:58:58 | アート・文化
このところ夜はほとんど本の資料整理をしている。時間を忘れて深夜に及ぶこともある。特にマンガの本は朝ドラの『ゲゲゲの女房』せいか、ぼくの生まれつき指向からくる蒐集癖で記憶がムクムクと蘇り、子どものころから20代にかけて集めたコレクションを思い出して引張りだしている。今でも情報があると、収集しておかなくてはとぼくのアンテナに引っ掛ったものを取り寄せることがある。
収納庫のダンボールを開けたら、懐かしい“青林堂”ものや“北冬書房”ものが出てきた。これらのマンガを文学の領域に持ち上げた出版社である。
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水木しげるさんの貴重な30代の作品も出てきた。昭和57年に東考社・桜井文庫から発刊された復刻版だ。『新雪物語』『妖棋死人帳』『怪談かえり船』『怪奇鮮血の目』の四冊。何れも怪奇もの。時代もの3冊と現代もの一冊。水木さん30代後半の作品だから、連日の朝ドラのストーリーからすると水木さんがご結婚される前の作品と思われる。奥付けの読者との交流ページが面白い。ストーリーの作り方などの解説がしてあったり、ご自身の趣味には「なまけることです」と書いてあったりする。ほんわかとユーモアが本から滲み出ている。
現代日本では、ネットや新聞や情報誌の広告やTVのコマーシャルなどで、新しい機能の車やテレビや、インスタント食品などあっても無くてもいいような日常生活で困らない物をおびただしく一方的に毎日情報を送ってくる。普通に日常的な生活を送っていると、なければ絶対に困るものは水と火と新鮮な食べ物の至ってシンプルの領域のものであると思う。でもそれに付け加えると水木さんのマンガや前述のマンガは子どものころから、ぼくにとっては好事的、精神的に必要なものだったような気がする。












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梅雨の間の雨上がり。〈C〉永野宏三



伝説。

2010-06-18 06:11:47 | アート・文化
直仕込んでいた水木しげるさんの著作本がぞくぞく出てきた。ほとんどが30年~35年前に出版されたもの。水木しげるさんが50代頃に出版された本。
『丸い輪の世界/講談社刊』『ゲゲゲの鬼太郎・全5巻/中央公論社刊』『ゆうれい電車/ポプラ社刊』『総員玉砕せよ!!/講談社刊(この本は最近フランスの出版社からも出版されている)』『お父さんの戦記/川出書房新社刊』『水木しげるの不思議旅行/サンケイ出版刊』等々。床に本を並べてみると、ぼくも相当マニアックに水木ワールドファン。ぼくが20代のころに買った本ばかり。
中でも『水木しげるの不思議旅行』をあらためて読み返してみると、朝ドラ『ゲゲゲの女房』のストーリーを彷佛させる記述が随所に出てくる。登場人物。波乱万丈の出来事。水木さんの視点は一貫していて、運命には“かんがえられないふし”“あるものが偶然に”にというご自身の体験からくる宿命みたいなことを書かれている。それは奇妙な“あるもの”で千差万別の形となって世の中に存在していて、世の中が不思議だらけになるということを説いておられる。
水木さんはマンガを通して文学をされていると思う。朝ドラをきっかけにあらためて水木ワールドに足を引きづり込まれてしまった。


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ネコのコネコは親知らず。〈C〉永野宏三