海峡。〈C〉永野宏三・ひろみプロ
門司は海峡に面して街の人々が生活を営んでいます。この海峡は潮騒の音とともに幾多の歴史の名残りを海面に写しています。
官製による築港と開港。海外航路の開設によるにわかな国際都市。戦火の軍港。戦後の再開港。そして国際貨物港。基幹鉄道からモータリゼーション変化による街の衰退から観光としての港街の再開発。
歴史を経て幾多の現象に追随して歴史をつくってきた門司港は、思考して次ぎへ移動する軸を身につける性格を持った街ともいえるのかもしれません。そのつどの時代による喧噪の遍歴を経験して、静粛の時間軸を知った門司港でもあります。
海峡の流れは潮が速いので、通る船の一方は停まっているように見えますが、もう一方の船は押し流されるように見えます。霧が出ると海峡一面が真っ白になってなにも見えなくなりますが、やがて晴れると、突然目の前に対岸の下関の街が間近に姿を現します。こんな表情を持つ海峡と幾多の歴史のできごとを育んできた海峡の街。これが門司港なのかなと思ったりします。