画:北九州市立文学館。〈C〉著作権者: 永野宏三・ひろみプロ
一月はあっという間に経ってしまいました。いつものことながら、月日が経つ度にどうしてこんなに早いのかなと思います。暦の上にも旅は続きます。
浅野から、また小倉城の方へと戻りました。小倉の中心街を通り抜けて紫川沿いに市庁舎前の北九州市立文学館まで歩きました。
市庁舎前からの文学館の眺めは、中央図書館とT字型に棟続きになっていて、チューブ状の屋根が実にユニークで、SF映画に出てくるような宇宙基地みたいにも見えます。隣接する勝山公園の大芝生と連なって光景はダイナミックな景観になっています。この建物は一時代ポストモダンで一世風靡した建築家のデザインによるものですが、時代が過ぎると過去のモニュメントになっているように見えます。大芝生の公園に樹木が少ないのにはちょっと気になります。文学館の建物は以前は歴史博物館だったところで、北九州市が輩出した名だたる多くの文学作家の貴重な資料が集約されていて一望に展覧できます。
勝山公園はまだまだ寒さがありますが、寒さの隙間に陽が照っているので親子連れが芝生の丘陵で遊んでいました。
文学館を後に同じ城内にある松本清張記念館に向いました。館のことは以前ブログで紹介しましたが、現在開催中の特別企画展『いつもカメラを携えて~松本清張が愛したカメラとその時代』を観覧することにしました。というのも、この企画展のグラフィックデザイン設計をわたしが担当したので会場を見たかったこともあります。
企画展では写真にも造詣の深い清張さん文学のある一面を垣間見ることができました。その資料と貴重なカメラの歴史も観覧することができて、二重に見ごたえがありました。
ミュージアムショップで文庫本『対談集?松本清張・発想の原点』を購入しました。この本の中で清張さんが、取材でカメラを用いることが多いがカメラフレームの中だけで風景を捉えているとフレーム枠外のことが印象に残らないので、結局はメモやスケッチに描いて記録するというような意味のことを語っていました。企画展の後の余韻で興味深かったです。
対談の中でも筒井康隆さんとの掛合いがおもしろかったです。筒井康隆さんの講演会は小倉で以前聴いたことがあります。清張さんの講演会も昔、小倉井筒屋で聴いたことがあります。この本の対談の中、作品づくりにおける互いのパラドックスの部分で拮抗するところが個性のあるおふたりらしく、またまた更におふたりのファンになってしまいました。