永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

町のこと。町のかたち。

2010-06-22 05:52:06 | アート・文化
日曜のBS番組で全国各地で行われている町おこしと、それを表彰する活動が紹介されていました。福岡県は田川の『炭鉱まつり』が奨励賞となっていました。田川はいわゆるカソの典型的な町ですが、見方によっては静かで自然が豊かでほどよく商業施設も整っている町です。昔ながらの中心商店街が時代の変貌でカソ化しているから、祭りというハレの舞台で町の賑わいづくりを演出しているのでしょう。大都会を除きどこの自治体も同じです。
でも、大都会でも町の中のカソが出現しているねじれた町の様子が伺える時代になってきています。再開発と言う名のもとに町を作りかえて再開発された地域は陽があたりますが、どうしても裏通りなどには影がさして元気がなくなるのでしょう。
もっともニッポン全国どこでも毎日のようにどんどん町が変わっていますけど、そのかわり人がいなくなる地域は町の様子は変わらないことになっているらしいです。こいうことをカソ地というのでしょうか。ぼくの子どものころ昭和30年代には、住んでいる町にカソの言葉なんかないし聞いたこともありません。
ぼくの住んでいる門司の町も、門司港駅前を中心にした観光地や、門司駅北側地区の再開発地域も、大小のイベントを仕掛けて非日常的ハレの舞台をつくっています。ところが山手の昔ながらの町は日中でも人の姿が見えません。いわゆる町の中のカソになってしまっています。でも、そういう町を歩き佇んでみると、建物の形、瓦葺きの屋根、路地のかたちと町の様子が昔と変わっていなくどこか安心しています。ねじれ現象はいい意味で、本来の町の貌に還っていくことを暗示しているようにも思えてきます。




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海峡の町。〈C〉永野宏三