もう間もなく梅雨入りとなる6月。曇り空の中、ワンちゃんのお迎えをいたしました。
ご依頼を受けたお宅は霊園からさほど遠くない住宅街にあり近くには整備の行き届いた広い公園があり、いくつもの植え込まれた樹木が青々と繁っております。
午前中に伺ったお家の庭も公園と調和するような感じで垣根や柘植(ツゲ)が気持ちの良いくらいに剪定をされており、眺めながら玄関の呼び鈴を鳴らすと幹の根元で小さな動く姿が近づいてきます。ご家族より先に飼われている猫さんが出迎えをしてくれました。
それに次いで扉を開けたご家族と猫さんに案内された床の間に小さな籠に横たわるワンちゃんが寝ていた姿で安置されておりたくさんの花が添えられておりました。
出棺準備で玄関に戻りますと先ほどの猫さんが不思議そうな目で解放された扉の方を見ております。
視線の先には美しいブローチの様なカミキリムシが黒光りする体に白い水玉の柄を輝かせており、ゆらりとする2本の長い触角が気になったのか猫さんが近づきましたがカミキリムシは羽を広げて公園の植え込みへ飛んでいきました。
これを見たご家族達は森の住人がワンちゃんを見送ってくれた、或るいは、この世を去った者が虫の姿となって猫が我が家に連れて来た・・と、それぞれ感慨深い印象を持ちました。