最近連続して2冊の書を読みました。「刀伊の入寇」と「天路の旅人」
です。
中公文庫と一般のA5判本です。
「刀伊」に関しては以前から関心がありました。そもそも「刀伊」とは
何なのか?何者なのか?ということからして疑問でした。断片的に読ん
だり聞いたりしたことがある程度でした。
それが,この本ではっきりしました。刀伊とは中国語の東夷に由来した
朝鮮のことばらしいのです。具体的には女真族であるということです。
女真族は後に金という国を立てます。――そういえば,中学校の歴史で
少し出てきたかな?という気がします。
古代中国では自分たちが世界の中心にある文明国で,周囲は野蛮人であ
るという認識でした。(今でもそう思っているのかも?)彼らから見て
北は 北狄(ほくてき)
東は 東夷(とうい)
南は 南蛮(なんばん)
西は 西戎(せいじゅう)
と呼んで蔑んでいました。したがって,古代日本も東夷の一部。有名な
邪馬台国に言及している中国の書物を一般に「魏志倭人伝」と呼んでい
ますが,本当は「三国志・魏書・東夷伝」の中にある「倭人」というと
ころに記載されているもの。なぜか1段ずつずれていますね。
ところが,どうも腑に落ちないことがあります。それは東夷と刀伊とで
は音が違うのではないかということです。古代の発音はわかりませんが
現代中国語では
東夷=dong(1)yi(2) [ トンイー ], 刀伊=dao(1)yi(1) [ タオイー ]
です。カッコ内の数字は四声を示します。1は第1声,2は第2声です。
一方,現代韓国語では
東夷=tong・i [ トンイ ], 刀伊=to・i [ トイ ]
です。
夷と伊はいずれもイと発音しますが,東と刀は発音が全く違います。果
たして刀伊は本当に東夷でしょうか?
それはともかく,刀伊が乱暴を働いた軌跡が図で示されています。
こ地図には表されていませんが,ここに来る前に対馬・壱岐で大暴れし
ています。
結局彼らは大宰府の藤原隆家らによって撃退されたのです。
外国からの侵入と言えば元寇が有名ですが,その約200年前に同じような
事件が起きていたのですね。
さて,もう1冊の「天路の旅人」です。
沢木耕太郎の著作です。わたしはかつて彼の書いた「キャパの十字架」
を読んだことがあります。事実をどこまでも論理的に科学的に探るその
手法に感嘆したものです。
今回のこの天路の旅人も同様に照合・分析を重ねて事実に迫っています。
主人公(と言ってもいいでしょう)は元陸軍の密偵。終戦後も大陸に残
ってチベット・インド付近を旅行する話です。もっとも,旅行というこ
とばで片付けていいものかどうか?旅行と言うより探検・冒険ですね。
彼の踏破した地域が載っています。
内蒙古からチベット,インドにまで達しています。8年間の足跡だそう
です。
すべて徒歩で通す気力・体力にも感心しますが,語学力に大いに感心し
ます。蒙古語はもちろん,チベット語やヒンドゥー語も修得します。も
ちろん独学です。中国語も話せたのではないかと思います。
わたしのちんたらちんたらした外国語学習の態度が恥ずかしく思えてな
りませんでした。
以上
です。
中公文庫と一般のA5判本です。
「刀伊」に関しては以前から関心がありました。そもそも「刀伊」とは
何なのか?何者なのか?ということからして疑問でした。断片的に読ん
だり聞いたりしたことがある程度でした。
それが,この本ではっきりしました。刀伊とは中国語の東夷に由来した
朝鮮のことばらしいのです。具体的には女真族であるということです。
女真族は後に金という国を立てます。――そういえば,中学校の歴史で
少し出てきたかな?という気がします。
古代中国では自分たちが世界の中心にある文明国で,周囲は野蛮人であ
るという認識でした。(今でもそう思っているのかも?)彼らから見て
北は 北狄(ほくてき)
東は 東夷(とうい)
南は 南蛮(なんばん)
西は 西戎(せいじゅう)
と呼んで蔑んでいました。したがって,古代日本も東夷の一部。有名な
邪馬台国に言及している中国の書物を一般に「魏志倭人伝」と呼んでい
ますが,本当は「三国志・魏書・東夷伝」の中にある「倭人」というと
ころに記載されているもの。なぜか1段ずつずれていますね。
ところが,どうも腑に落ちないことがあります。それは東夷と刀伊とで
は音が違うのではないかということです。古代の発音はわかりませんが
現代中国語では
東夷=dong(1)yi(2) [ トンイー ], 刀伊=dao(1)yi(1) [ タオイー ]
です。カッコ内の数字は四声を示します。1は第1声,2は第2声です。
一方,現代韓国語では
東夷=tong・i [ トンイ ], 刀伊=to・i [ トイ ]
です。
夷と伊はいずれもイと発音しますが,東と刀は発音が全く違います。果
たして刀伊は本当に東夷でしょうか?
それはともかく,刀伊が乱暴を働いた軌跡が図で示されています。
こ地図には表されていませんが,ここに来る前に対馬・壱岐で大暴れし
ています。
結局彼らは大宰府の藤原隆家らによって撃退されたのです。
外国からの侵入と言えば元寇が有名ですが,その約200年前に同じような
事件が起きていたのですね。
さて,もう1冊の「天路の旅人」です。
沢木耕太郎の著作です。わたしはかつて彼の書いた「キャパの十字架」
を読んだことがあります。事実をどこまでも論理的に科学的に探るその
手法に感嘆したものです。
今回のこの天路の旅人も同様に照合・分析を重ねて事実に迫っています。
主人公(と言ってもいいでしょう)は元陸軍の密偵。終戦後も大陸に残
ってチベット・インド付近を旅行する話です。もっとも,旅行というこ
とばで片付けていいものかどうか?旅行と言うより探検・冒険ですね。
彼の踏破した地域が載っています。
内蒙古からチベット,インドにまで達しています。8年間の足跡だそう
です。
すべて徒歩で通す気力・体力にも感心しますが,語学力に大いに感心し
ます。蒙古語はもちろん,チベット語やヒンドゥー語も修得します。も
ちろん独学です。中国語も話せたのではないかと思います。
わたしのちんたらちんたらした外国語学習の態度が恥ずかしく思えてな
りませんでした。
以上
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