三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

機械式カレンダー付き置時計の手入れ

2022-06-19 07:59:01 | 日記
時計の手入れが続いています。

今回はカレンダー付きの珍しい置時計です。もちろん,ゼンマイ駆動で
すべて機械式です。まずはその外観をご覧ください。

2つの時計が一体になったような感じですが,左が時計で右はカレンダ
ーです。2針ありますが,先の尖った方で「日」を示し,先がY型にな
った方で曜日を示します。
時計の方は説明不要でしょう。秒針はありません。

背面です。

つまみが3つあります。
左は曜日と日にちを合わせるもの,中央はゼンマイを巻き上げるもの,
右は時計の時刻を合わせるためのものです。時刻合わせのつまみが異常
に長い気がします。もしかしたら本来のものではないのかも知れません。
右端に見える長三角形のものは時刻の進み/遅れを調整するためのもの
です。テンプの螺旋状ばねに連結しています。左に回すと遅くなり,右
に回すと速くなります。なぜか右一杯の角度に合わされていました。

振っても,揺さぶってもまったく動きません。もちろん,ゼンマイは巻
かれています。
中身を取り出しました。

――と簡単に申し上げましたが,なかなか大変でした。精密機械である
ことは勿論,指針などをひっかけたりしたらおしまいです。

さて,内部を検めた結果,特に異常と思える箇所は見当たりませんでし
た。機械式時計の心臓ともいえるテンプにも異常なし。これはもう埃と
油切れでしょう。
丁寧に進めていくと,最初は短時間,その後徐々にテンプが連続して往
復運動を始めました。

時計とカレンダーの連携にも問題ないようです。しばらく動かしたまま
放置。

24時間以上経過したのでケースに収めることにしました。しかし,これ
が予想以上に困難。どうしても針が引っ掛かってしまいます。
「生産現場でこんなに難しいはずはない」
との考えでケースを改めて眺めると,裏蓋に何やら変なものが。

上の写真の左側です。これまた
「何の役目もない部品はないはず」
という信念をもってさらに眺めていると,これが裏蓋を固定しているキ
ーだと分かりました。上の写真はキーの穴に細い棒を差し込んで回した
ところです。
これで裏蓋が開きました。最初からこうすれば中身の取り出しも容易だ
ったのに‥‥。

組み上げてから時刻とカレンダーを合わせ,しばらく様子見です。
真夜中にカレンダーが更新されるか気になって枕元に置いて寝ました。
時々目覚めるたびに時計を眺めます。時刻に問題はありませんが,12時
過ぎてもカレンダーが進みません。
これはダメかな?12時間ずれているのかな?と思いながらうつらうつら
と‥‥3時過ぎに見ると,何と日にちが進んで「きょう」になっています。

曜日は‥‥?きのうときょうの中間の位置です。

また一寝入り。
5時少し前に目覚めると,「曜日」も「きょう」になっていました。昔の
時計のカレンダーは0時から4時頃にかけて日が変わるのでした。

ところで,この時計,インターネットで調べたらおおよそつぎのようで
した。
精工舎の大正時代のもの
名前は「七曜日指一週間保」(?)何と読むのだろう?一度ゼンマイを
一杯に巻き上げたら「1週間保」つのでしょう。
外装は,金色,金いぶし色,銀色の3種
価格はそれぞれ,8円20銭,8円,7円80銭
当時の大学卒初任給はおよそ70円か75円ほどだったと聞いたことがあり
ます。すると,この時計の値段は初任給のおよそ1割ほどだったという
ことになりましょうか?
もっとも,当時の大学卒の初任給で1軒家を借り,女中を1人置けたと
いうことだったとも記憶していますので,現在の初任給にそのまま当て
はめることはできません。

以上