三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

置時計の修理(その1)

2022-06-15 07:15:40 | 日記
きのう置時計の修理を頼まれました。下の写真のとおり,ブロンズ製
(?)の立派なものです。

その裏側に扉があって,開くとねじ巻きがあり,内部には真鍮製のム
ーブメントが見えます。歯車などは隠れて見えません。

内部はまあまあ奇麗な状態と言っていいでしょう。ゼンマイは一杯に
巻き上げられていました。
依頼主としては,もし修復できなければムーブメントをクオーツに取
り換えて欲しいということでした。

動かないということでしたので,まずは全体をゆすってみました。
――まったく動きません。そこで前扉(風防)を開けて長針をゆすっ
てみました。動き出しましたが,すぐに止まります。しかし,その短
時間でもこの種の時計の特徴である「コチコチ」という音が聞こえま
す。
(これは修理できる!)

どのようにして内部を取り出すか?その方法・手順がわかりません。
仕方ないので作業を中断して寝てしまいました。
(無理は禁物!)

深夜1時過ぎに目が覚めたので再び分解に挑戦。
裏側の2本のビスを外すと難なく取り出せました。下の写真です。

奇麗な状態ですが,全体に干からびた様子。問題のテンプは天板の上
にありました。無事でした。

しかし,白い粉末状の埃をかぶっています。手で回してやってもすぐ
止まります。
そこで,ほこりを払い,注油。――すると勢いよく動き始めました。
(しめた!修理完了だ!)
ということでしばらく様子を見ていたところ,どうも針が動きません。
テンプは軽快に動き,それに連動していろんな歯車も動いています。
でも,針が動きません。

いろいろ観察していると,表現は難しいのですが,短針を回す一対の
歯車が円板に接してその摩擦のために動けない状態であろうことが判
明しました。下の写真の赤の楕円で囲んだ部分です。

少しぐらい引っぱたり押したりしても矯正できません。

(なぜ,こんなことになったのだろう?)
そう思いながら機械を改めて眺めました。すると,加工の粗さが目に
つきました。下の写真をご覧ください。

左側の矢印の先の穴はカエリが残ったままです。右の真鍮板の切断面
は手作業(金切り鋸)で切ったままの状態です。
ここにきて,この時計の成り立ちが推測できました。つまり,生産者
は何らかの形(方法)でムーブメントを手に入れ,それをブロンズ製
の筐体の中に組み込むため,そのムーブメントを加工したようです。
この加工のとき何らかの不具合因子が入り込んだのかもしれません。

さて,どうするか?クオーツ置き換えるのは簡単だが,何とか修復
したい。
しばらく考えます。(続編をご期待ください。)
以上