伊藤亜紗著
タイトルを見てまず思ったのは
視覚障害者を理解するための本だな、ということ。
読後、思い返せば
その思いの底にあったのは
視聴覚障害者を理解、してあげる、ための本だな、という気持ち。
みんなができることをできないのはかわいそう、だから。。。
言ってみれば、そういう思い込みを覆してくれる本だ。
障害があることは、足が欠けたイスではなく、3本足で成立しているイスだ、という
冒頭の文章に衝撃を受けた。
目が見える人のための社会なのだから、目が見えない人が不便なのは当たり前。
でもそういう視点を離れて視覚を使わない世界を想像するおもしろさ。
パラリンピックを見る目が変わりそうな気がする。
見える世界の笑いの説明を求めるのではなく、その場の雰囲気を一緒に楽しむ、
というような視覚障害者の話があった。
これは英語がほとんど分からない私には身近な話だった。
映像で一生懸命英語で語り、笑い合う人を見るとき、
たとえ細かい内容が分からなくても、なんか分かるような気がして楽しいのだ。
老年になれば、足が言うことをきかなくなったり、耳がとおくなったり、目も悪くなる。
つまり障害者である、と書いてあったのにも、ハッとした。
私もいずれ障害者になるのだ。