古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第三十三章 詫一札之事 其の二十四

2014年12月11日 07時44分40秒 | 古文書の初歩

第三十三章・「詫一札之事」を終わって

① この文書は、元庄屋等へ悪口を書いた事を詫びる証文です。全体に文章は難しく、解説と言うには程遠い内容になりました。作成者が、あまり文章に慣れていない方なのではないかと思うのですが、如何でしょう。

② 私ども五人とは、文末の文治・吉松・久次郎・由蔵・房右衛門の、多分五人組のメンバーではないかと考えられます。この五人が申し合わせて、たとえ首を切られても(殺されても)他言はしないとの約束で、元庄屋宅及び庄屋代才助宅へ人の悪口を書いて、投書をしたが、何も反応が無いので、再度よくわかる様に板の札へ書いて、柿の木に吊っておいたところ、下浦の人や、在中(上村)の人も見て、村じゅうが相談の上村追放の契約をして、・・・と言う様な文章が続きますが、全体として文意が掴めません。ご勘弁下さい。

③ 意味の判らない熟語の幾つかを書いてみます。読者の皆さんの中で判る方がいらっしゃればお教え下さい。 「宣細」?・・・串本町史では、これは「詮索」の書き違いではないかと書いています。 「数札」?。 「乍書」・・・解読文では、「乍ら書き」と私は読みましたが、今、再度考えてみると、「書きながら」の方が良いのではないかと思い直しました。「私どもが書いて置きながら」。原文修正済み。 「大イ」、「大ニ」、「大イニ」と続きますが、何れも「大いに」のつもりで書いていると思われます。 「奉落入」?。二行後の、「奉誤入」?。「謝り入り奉り」の間違いか。 「下済」?。 「過言」?。「跡役」?。 「先達而」・・・普通は「先達て」と読みますが、ここでは「先きだって」と読む方が良いと思われます。

④ 全体として、文章は判りにくいのに、難しい漢字が再々出ています。 「大膽者」・・・大胆者。 「麁言」・・・粗末な言葉。失礼な言葉。「麁」の本字は「鹿」を上に一つ、下に二つ書く、画数の多い漢字です。 「相嗜」・・・はじめて出て来ても絶対に読めない崩し字です。

⑤ 総じて、経験の浅い者が教材として取り上げるには無理な古文書でした。お詫び申し上げます。


第三十三章 詫一札之事 其の二十三

2014年12月10日 07時47分08秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「詫一札之事」第五頁、上の五行目以下

解読 書附差入申候。以上。

    明治三年午五月     筆書  文治 印

                    同   吉松 印

                    同   久次郎 印

      在中様         同   由蔵  印

      庄屋御元        同   房右衛門 印

読みは省略。 「書附」・・・書いた文書。「書」の崩し方を覚える。 「差入」・・・差し入れ。提出する事。「差」の崩しも形で覚える。 「申候」・・・差し入れ致します。 「明治三午五月」・・・「五」が最も難しい。 「筆書」・・・この文章を書いた者。「筆」も「書」も読むのは困難です。 名前の崩し字もたいへん難解です。数多く経験するのが一番です。 「在中様」・・・「様」も何回も出ますが、回数で覚えて行きましょう。村の皆様。 「庄屋御元」・・・庄屋のお手元へ。 


第三十三章 詫一札之事 其の二十二

2014年12月09日 04時42分21秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「詫一札之事」第五頁、上の三~四行目

 

解読 右四件之儀者、重々私共落不入候事ニ

    候間、向後者急度相嗜可申候。為後日

読み 右四件の儀は、重々私ども落とし入れず候事に

    候間、向後はきっと相嗜み申すべく候。後日の為

解説 「右四件之儀者」・・・残念ながら、文章が難しく、「右四件」の内容が判りません。右に書いた四件の事は。 「重々」・・・幾重にも。重ね重ね。 「私共落不入候事ニ候間」・・・「落不入」・・・落とし入れず。ここの意味もよく判りません。お手上げです。 「向後」・・・『こうご』、今後。この後。『きょうこう』とも読みます。 次は「者」・・・「は」。 「急度」・・・『きっと』。屹度。 「相嗜可申候」・・・相嗜み申すべく候。「嗜む」は「慎む」、「遠慮する」。「嗜」の字は、古文書でも滅多にお目にかかれる文字では有りません。 「可申候」・・・申すべく候。 「為後日」・・・後日の為。慣用語です。


第三十三章 詫一札之事 其の二十一

2014年12月08日 07時19分25秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「詫一札之事」第五頁、上の一~二行目

 

解読 宛ニ書有候故、外之人之様者同人ヲ代ニ

    めざし被書入候も御尤之儀奉存候。何卒

読み 宛てに書き有り候故、外の人の様者同人を代わりに

    めざし書き入れられ候も、御尤もの儀存じ奉り候。何卒

解説 「宛てに書き有り」・・・庄屋宛てに書いて居り。 「有」が難しい。 次は「候故」と書いています。 「外之人之様者」・・・「外の人の様には」、と「に」が抜かっているものと推定します。 「同人」の次は「ヲ」。 「代ニ」・・・代わりに。 「めざし」の次は「被書入候も」・・・書き入れられ候も。 「御尤之儀」・・・「ごもっともの儀に」と「に」が抜かっている様に思います。


第三十三章 詫一札之事 其の二十

2014年12月07日 04時23分30秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「詫一札之事」第四頁、上の九~十行目

 

解読 者恨一切無之奉願上候。猶又清蔵殿ニも札をも

    被入有之候へ共、是とても私共四人江庄屋

読み は、恨み一切これ無く願い上げ奉り候。猶又清蔵殿にも札をも

    入れられこれ有り候えども、是とても私共四人へ庄屋

解説 最初は「者」で、変体仮名の「は」です。 次ぎも読みにくいですが、「恨み」。 「無之」・・・これ無く。 「願上」の右下の縦棒が「候」。 次ぎも読みにくいですが、「猶又」。 「清蔵殿」・・・本頁三回目。 次は「ニも」の右横に「札をも」と追加書きしています。 十行目最初は「被入有之候へ共」・・・入れられこれ有り候えども。入れられましたが。 「是とても私共四人江」・・・ここはなんとか読めます。 次の「庄屋」も難解。