古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第三十四章 借用義定証文之事 其の五

2014年12月16日 08時21分26秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「借用義定證文之事」第二頁、上の一~二行目

解読 御役元江願文之通心外成過言い多し候ニ付

    直様貴殿より御役元江願出候趣、被為被申聞承知仕候。

読み 御役元へ願い文の通り心外成る過言いたし候に付き

    直ぐ様貴殿より御役元へ願い出候趣、申し聞かされ為され承知仕り候。

解説 「御役元江」・・・「役」の字が違う様に思うのですが、習った通り「御役元へ」としておきます。 「願文之通」・・・「通」が読みにくい。 次は右側に添え書きが有りますが、読み難いのでパスします。 「心外成」・・・心外なる。思いもよらない。三字とも読めません。 「過言」・・・これも難解です。失言。間違った事を言うこと。  「い多し」・・・致し。一昨日も出ました。 「候ニ付」・・・失言したので。 「直様」・・・直ぐさま。直ちに。読むのは困難です。 「貴殿より」・・・「貴殿」は難しいが、四回目です。 「御役元江」・・・村役の元へ。 「願出之趣」・・・願い出の趣旨。 「被為被申聞」・・・申し聞かされ為され。 次は最難関です。「承知仕候」・・・承知致しました。


第三十四章 借用義定証文 其の四

2014年12月15日 08時14分59秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「借用義定証文」第一頁、上の七~八行目 

解読  貴殿名前を相唱借受候事故、私出在後両節季

    共貴殿方へ同人より厳敷さい促被申候趣、貴殿

読み  貴殿名前を相唱え借り受け候事故、私出在後両節季

     共貴殿方へ同人より厳敷く催促申され候趣、貴殿

解説  最初は「貴殿」です。崩し方を頭に入れましょう。この二行で三度出ます。 「名前を相唱」・・・あなたの名前を名乗って。 右横に小さく添え書きして、「借受候事故」・・・あなたの名前で借り受けたので。「故」も難解です。形で覚える字。 「私出在後」・・・私が村を出たあとで。 「両節季」・・・『りょうせっき』。二回の年末。「節季」は年の暮れ。 去年と今年の二回の年末。八行目最初は「共」です。「貴殿方へ」。「同人より」。これも簡単な文字ですが、読むのは難しい。 「厳敷」・・・厳しく。 「さい促」・・・「促」も読めません。 「被申」・・・申され。 「候趣」・・・厳しく催促された事情。 最後は三回目の「貴殿」です。 本頁の後半は文字の写りが薄くて読みにくくなっています。


第三十四章 借用義定證文之事 其の三

2014年12月14日 08時13分43秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「借用義定證文之事」第一頁、上の五~六行目

 

解読 年経候内、他借相嵩凌方難出来成行

    悪敷居在出在いたし候儀ニ付、□□門方よりハ

読み 年経り候うち、他借相嵩み凌ぎ方出来難く成り行き

    悪しく居在出在いたし候儀ニ付、□□門方よりハ

解説 「年経」・・・『としへ』。年が過ぎる事。「年経候内」・・・年が経つ内に。 「他借」・・・他からの借金。「他」が難しい。 「相嵩」・・・相嵩み。「嵩」も教えて貰わねば読めない字です。増える事。 「凌方」・・・日々の生活を凌ぐ事。やりくりする事。 「難出来」・・・出来難く。「出」も難解。 「成行」・・・成り行き。「成」も読むのは困難です。 六行目最初は「悪敷」・・・悪しく。これも読むのは困難です。 「居在」・・・『きょざい』住んでいること。「在」も難しい。 「出在」・・・「出」の崩しも難解です。在から出ること。「出在」は辞書に載っていませんが、推定です。 次は、「い多し候儀ニ付」・・・「多」は「た」の変体仮名です。この書き方は読みにくい。  

 


第三十四章 借用義定證文之事 其の二

2014年12月13日 06時41分08秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「借用義定證文之事」第一頁、上の三~四行目

 

解読  □□門方ニ而金子三両借財致候處、私義

     借財多返済難相成、延引仕候處、彼是

読み  □□門方にて、金子三両借財致し候処、私義

     借財多く返済相成り難く、延引仕り候処、彼是

解説 文中に出て来る御名前は、□□門にさせて戴きます。 三行目は特に難しい字は有りません。 四行目、「借財多」・・・これも問題無し。 「返済難相成」・・・「返」は「五」に似ていますが、問題無き様に思います。 「延引」・・・「引」が難解。 「仕候處」・・・仕り候処。 「處」は前行に続き並んでいますが、形で覚える字。 「彼是」・・・そこそこ。おおよそ。


第三十四章 借用義定證文之事 其の一

2014年12月12日 07時56分11秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「借用義定證文之事」第一頁、上の表題部と一~二行目

 

解読 一、金子弐両歩也

    右者去ル子九月貴殿名前ヲ以下浦

読み 一つ、金子弐両歩なり。

    右は去る子九月、貴殿名前を以て下浦

解説 本文も難しいのですが、用語はまともですので、挑戦します。 「借用」・・・「用」の崩し方が難解です。形で覚えましょう。 「義定」・・・『ぎじょう』と読むのが通常ですが、『ぎてい』でもよい。合議して決める事。「議定」と書く方が正しい。「義」の崩し方に注意する。 「證文」・・・『しょうもん』、証拠となる文書。 次は小さく「之」が有ります。 「一」・・・これはいわゆる「ひとつ書き」の「一」では無く、金額の頭に通常、「一」と書きます。読み方は『ひとつ』。 「金子」・・・『きんす』。金額のこと。 「弐両歩也」・・・二両0歩のこと。「也」の字も形で覚える。 「右」の次は「者」で、「右は」。 「貴殿名前」・・・これも読むのは困難です。 「下浦」・・・汚れていて読みにくいですが、「田並上村」に対して「田並浦」の事を略して「下浦」と呼びました。