古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十九章 山火事に付き願口上控 その四十九

2013年11月25日 08時03分28秒 | 古文書の初歩

 

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第十七頁、上の一~三行目

 

解読 使徳蔵を以有田上村 庄屋元江書状差出シ

    其已来当村之者毎日

 

読み 使い徳蔵を以て有田上村・庄屋元へ書状差し出し

    それ以来当村の者毎日

 

解説 「使徳蔵」・・・使者徳蔵。 「を以」・・・徳蔵を使者にして。 「有田上村」・・・難しい字ですが、これだけ回数が多いと、初心者の方ももう読めるでしょう。 「庄屋元江」・・・庄屋の所へ。 「書状」・・・「書」は「出」に見えますが、尤も難しい崩し字の一つです。 「差し遣シ」・・・差し遣し。差し遣わし。「遣」は「出」かも解りませんが、やはり「遣」と読んでおきます。 「其已来」・・・『それいらい』。それ以後。「其」は「其の」の外に、「其れ」、『それ』とも読みます。 「已来」・・・『いらい』。以来。「已」『い』は「巳」『み』と「己」『き』に似たもう一つの字。 「当村之者」・・・読みにくい。 「毎日」


第十九章 山火事に付き願口上控 その四十八

2013年11月24日 08時00分53秒 | 古文書の初歩

 

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第十六頁、上の七~九行目

 

解読 義ニ付、早々吟味之上火 をかけ候仁誰々との義

    急度可申越様ニと当月十日

 

読み (立難き)義に付き早々吟味の上火をかけ候仁誰々との義

    急度申し越すべき様にと、当月十日

 

解説 (立ち難き)義ニ付・・・御政道も立ち難い事なので。 「吟味之上」・・・書き間違って、筆で上から修正していますので、読むのは困難。文意から推定します。取調の上で。 「火をかけ候仁」・・・火をつけた人。「仁」・・・『じん』、「人」と同じ。 「誰々との義」・・・放火した人はだれそれだと。 「急度」・・・この場合は、「必ず」。「相違無く」。 「可申越様」・・・言って来る様。


第十九章 山火事に付き願口上控 その四十七

2013年11月23日 07時51分21秒 | 古文書の初歩

 

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第十六頁、上の四~六行目

 

解読 ニ而も其儘ニ難差置、且又 向後火之元用心も

    無覚束御政道も難立

 

読み にても其の侭に差し置き難く、且つ又向後火の元用心も

    覚束なく、御政道も立ち難き

 

解説 「難差置」・・・下から返って「差し置き難く」。そのままほっておけないで。 「且」が解りにくい。 「向後」・・・今後。『こうご』。『きょうご』とも言います。 六行目「無覚束」・・・覚束ない。『おぼつかない』。「束」が読みにくい。 「御政道」・・・政治の道。人民を治める方法。 「難立」・・・立ち難き。政治の道も立ちにくい。

十月十日付け、其の四の第一行目「有行」の意味不明と書きましたが、解りました。これは「歩キ」『あるき』という庄屋の下で働く、「走り使い」の仕事をする役の事だと言う事です。今なら役場の小使いさんです。私の推定は正しかったと言えます。「有行」は宛て字になります。読みは「あるき」


第十九章 山火事に付き願口上控 その四十六

2013年11月22日 08時42分04秒 | 古文書の初歩

 

「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第十六頁、上の一~三行目

 

解読 ケ間敷キ付届ケ可被致道理 も無之義と奉存右之通毎々火を

    阿まし候大悪人者何方(ニ而も)

 

読み がましき付け届け致されるべき道理もこれ無き義と存じ奉り、

    右の通り毎々火を余し候大悪人は何方(にても)

 

解説 「(急度)ケ間敷き」・・・『きっとがましき』・・・厳し過ぎる様な感じの。 「付け届け」・・・訴え。陳情。 「可被致」・・・下から返って、「致されるべき」。 「道理」・・・『どうり』。筋道。筋の通った理屈。「道」の崩しは一番難しい。何度出てもなかなか読めません。 「無之」・・・これ無き。 右側に小さく挿入で、「義と奉存」・・・これ無き義と存じ奉り。筋の通った理由も無いと存じますので。 「右之通」・・・「右」も何度出ても難解。 「毎々」・・・毎度毎度。何時も。 「阿まし」・・・あまし。余し。「毎々火を余す」は、「何度も失火する」。 「阿まし」の次は「候」。 「大悪人」は何とか分かります。次は「者」・・・「は」。 「何方(にても)」・・・『いずかた(にても)』。どなたでも。


第十九章 山火事に付き願口上控 その四十五

2013年11月21日 14時32分52秒 | 古文書の初歩

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「霞ヶ谷山火事ニ付願口上控」第十五頁、上の七~九行目

 

解読 付届ケ被致候ニ付而ハ、当村 之もの火を付候処実々

     慥成證據等無之而ハ急度 

 

読み 付け届け致され候に付いては、当村の者火を付け候処実々

    慥かなる証拠等これ無くては、急度

 

解説 「付届け」・・・訴え出ること。 「被致候ニ付而ハ」・・・私方へ厳しく訴えなされた事については。「被致」が難解です。 「当村之毛の」・・・当村の者。「毛」はちょっと読みにくいですが、ヒラカナの「も」。 「実々」・・・「実」の次の字は「之」か「ニ」か解りにくいところですが、文意から「々」で『じつじつ』。「実」の強調語。本当に。 九行目最初は「慥成證據等」・・・慥か成る証拠など。「證」、「據」は旧字体。 「無之而ハ」・・・これ無くては。 最後は「急度」・・・『きっと』。