勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

三角カフェ

2013-02-28 23:30:44 | Weblog
 我が住む町、浅草の北に位置する台東区千束の吉原地区は、その昔遊郭として栄えた街である。今、その一帯はソープランドが立ち並び、深夜までネオンが瞬く街でもある。


 この地区には吉原を象徴する神社仏閣や、当時の名残をあちらこちらで見ることができる。また遊女にまつわる悲話も多く、それらを数え上げたらきりがない。 


 僕が仕事に通う途中の、我が家から200メートルほどの花園公園は、そんな吉原の一角にある。数日前、テントのような不思議な建造物がこの公園に突然現れた。よく見ると幟に「さんかくカフェ」とある。


 物見高く、好奇心旺盛な僕、恐る恐るこのカフェでコーヒーを楽しむことにした。この「三角カフェ」の若い店主、村上慧(むらかみさとし)さんは、武蔵野美術大学建築学科卒業の美術家だという。そんな村上さんが何故ここでこんな形のカフェを開いているのか興味津々。  


 目の前でコーヒーを煎れながらの会話は饒舌とはいえないが、訥々と語る彼の話では、縁あってこの地区とのつながりを機に、仲間4人と江戸遊郭で栄えたこの街を、単なる色街の域を超え、ファッションや芸能を生み出す「文化の発信地」として、新しい風をとの願いを込めてのイベントに先駆けて、地域との触れあいを目的のカフェのオープンなのだそうだ。


 話をしていると、彼の仲間や知り合いが次々と現れ、中にはここの拘りのコーヒーの味が好きだという中年の男性も交えて話の花が咲く。遠く奈良から来たという女性もいた。  


 この公園の眼と鼻の先にある吉原弁財天境内では、「吉原芸術・大サービス」と銘打った、線の上で踊るイベントが、3月3日~10日の間行われるという。


 若手の芸術家をはじめとする、多くの出演作家によるパフォーマンスは、弁財天の他にもこの花園公園や吉原神社を含め、町内にも繰り出すらしい。


 弁財天の境内には、関東大震災で命を落とした遊女たちを祀った観音像もあり、苦界で生きた彼女らの悲哀の供養の意味も込められるのだそうだ。 


 このイベントは、主催者のひとりであり、この三角カフェの創作者でもある村上慧さんのブログでも紹介されているが、この「線の上で踊る」吉原芸術から新しい吉原が生まれるかもしれない。