話は変わって舟木一夫である。
彼は2004年に還暦を迎えた。
その年のコンサートで、何と赤い詰襟を着て「高校3年生」を熱唱し大受けしたのである。
なぜ知っているかというと、辰つぁんも宮城県民会館に見に行ったのである。
(チケットは正価7000円のを3000円で買った。)
「高校三年生」、 「修学旅行」、 「学園広場」、「仲間たち」、「あゝ青春の胸の血は」、「 君たちがいて僕がいた」、 「花咲く乙女たち」、 「北国の街」 、「あゝりんどうの花咲けど」、「高原のお嬢さん」、「哀愁の夜」、「絶唱」 、「夕笛」、「初恋」 と、往年のヒット曲のメドレーに観客はひととき青春に帰った。
しかし舟木が 「では新曲を聞いて下さい」 と言った瞬間、客席は静まり返った。
その新曲は「恋唄」だったが、印象に残らない曲だった。
新曲はそれで終わりかと思ったが、さらに「たそがれの人」を歌い出したとき、観客は下を向いた。
観客は新曲など聞きたくなかったのだ。
昔の歌を聞きたかったのだ。
昔の歌でひととき青春に戻りたかったのだ。
売れた時代はもう戻らない。
星は移り、ファンは老いた。
彼の新曲はもはや求められていない。
ユーミンにも今、それを言いたい。