おシャカ様は、人々の苦しみにいたく心を病まれて、出家の道に
入って修行をさないました。
大変な苦行の結果、修行林の卒業証書を頂いたけれども、「死」
ということが分かりませんでした。
「死」というものが、観念的には分かっても事実が分からない
ということに気が付かれて非常に御苦労なさって禅定に入られました。
それが私たち衆生が務めている坐禅です。
先般、「因・縁・果」について話しましたが、私たち衆生は
様々なわだかまりや落ち着きがない様子があっても一つです。
数を数えることの出来ないほどの苦しみがあっても、自分の
心の中には一つしか入りません。
ですから、安らぎを妨げている苦というものが一つ解決すれば
あとの苦しみは雲散霧消してなくなってしまいます。
おシャカ様も当時はそのことをご存じなかったのです。