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倫敦から来た近代スポーツの伝道師―お雇い外国人F.W.ストレンジの活躍 (小学館101新書 136) |
高橋 孝蔵 | |
小学館 |
「スポーツで大切なことはベストを尽くすこと」
スポーツの起源など身近すぎて考えたこともなかったが、日本にスポーツを最初に伝えたのは、この本の主人公であるストレンジ氏だという。明治初期に英国からやって来て、「お雇い外国人教師」となったストレンジ氏は、ボートや陸上競技などのスポーツを、熱心に当時の日本の学生に教えた。それだけでなく、彼が始めた運動会や学校の体育会組織が、今の運動会や部活の起源となったというから面白い。しかし彼の本当の業績は、単に競技を紹介しただけでなく、
「試合が終われば、ウェル・ロー(よく漕いだ)といって相手をいたわれ」
「全力を尽くして戦え。負けても負け惜しみはいうな」
「運動は体力を鍛える目的で行うものではない。智徳を磨くためである」
「スポーツで大切なことはベストを尽くすことであって、勝敗は問題でない」
という、スポーツマンシップやフェアプレーの精神を教えたことにある。
いま開催中のロンドンオリンピックの各種目で日本人選手が活躍している。スポーツ先輩国である英国と、「伝道師」ストレンジ氏に感謝を捧げたい。
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