たまたま最近、脱北者や留学生が実録を書いた「北朝鮮」の本を数冊読みました。聞きしに勝る壮絶な国で、これほど厳しい統制を取っている国は、はたして国民を幸せにしようとしているのか、暗然とした思いで読み終えたのです。
ちょうど日本サッカーティームが北朝鮮でゲームをやり、惜敗で戻ってきました。選手の中には泊まっているホテル内で不思議な恐怖に襲われ、仲間の部屋に移って寝んだという話しも載っていました。
しかしよく考えてみると、北朝鮮は拉致問題、核の生産、食料不足による飢餓状態など、政治的に生活的に周囲から大きな不安を感じられており、正常な国家関係を結べない有様です。いわば鎖国なのですから。
スタンドで応援していた一握りの日本のサポーター達は「立ってはいけない」「静かに応援しろ」「国旗を振ってはいけない」など様々な規制の中で息苦しい目で応援するしかなかったと感想を漏らしています。
スポーツの世界でも難しい問題を抱えているのがよくわかります。平壌市に住む人びとは特別の人であり、その中でもサッカーを観覧した人はさらに特別な人なのだそうです。みんなは”将軍様”の導きで勝てた、と気勢を上げていたらしいのですが、どこか誘導されているのではないかと思われる情景です。
国を愛することはどんな国でも大切なことだとは思いますが、ぼくたちがかつて太平洋戦争の際に「これが真実だ」と信じてきたのも、誘導だったことを思い起こすと、為政者の本音が隠れていて欺瞞で固められたことを思い出し、暗い気持ちになりました。気持ちよく選手たちがプレーできる環境を整えてあげたいものです。
やさしいタイガー