先日来、作家立原正秋の作品を読みふけっています。以前から立原正秋の文章の美しさに心奪われることが多かったのですが、久しぶりに図書館で3冊借りてきました。
「立原正秋 珠玉短編集1~3」なのです。いずれも短い文章ですが、一編一編に登場する人物に、作家の人柄そのものが投影されているような「やさしさ」や男女の機微のようなものが見事に描かれていて、どんどん引き込まれて読み終え、これから返しに行くところです。
藤沢周平もそうですが、立原正秋も品のよさを感じます。だからでしょうが、飽きないのです。小説は不思議に心の糧になります。それは閑だから読むというより、作家に誘われて時間を当てる、といった心境になります。
中には徹夜してでも読み通すという方もいますが、それでも最近ぼくはそんなペースでは読みません。適当なところで終えて寝むことにしています。
そしていつも思うことですが、作家の語彙の豊富なのに脱帽です。さすがにプロです。ぼくがそんな言葉から摂って使ったとしても、どこか浮いたものになることは確かです。教養の乏しさでもあるし、勉強不足かもしれませんが、それにしても日本語の素晴らしさを読むたびに感じます。
もはや小説の世界だけなのかもしれません。美しい言葉生きているのは。
やさしいタイガー