玄孫(ヤシャゴ)

　お客さんが帰る時、私は時々「お孫さんにヨロシク」と言って送り出す。今日もまた例の如く一声を発した。

　私　「ありがとう！お孫さんにヨロシク」
　ママ「あんた、まだ40歳やで。孫、いてる訳ないやろ」

　いつもはここで「孫なんかいてへんで」とお客さんの返事が帰ってくるが今日は違った。

　お客「うん、玄孫(ヤシャゴ)に言うとくわ」
　私　「おお、そうくるか。うーん」
　ママ「ひ孫を通り越して玄孫やて。アンタ、負けてるで」
　私　「でも、ひ孫を通り越して玄孫は、やしゃごしい(ややこしい)で」

　一句：孫のギャグ　キッチリ返され　まごついた

ストリップ

　女性客がアンルイスの“Fore　Seasons”を唄い出した。横に座っていた男性客がポツリと言葉を発した。

　客M「この間、ストリップでアンルイスの“Fore　Seasons”をバックに踊ってたで」
　私　「どこのストリップ劇場や？」
　客M「西区の九条ミュージックや」
　私　「九条か、くじょう(苦情)がくるで、アンルイスから…」
　客M「極上の踊り子やったら許すけど…」
　私　「ごくじょう(ご苦労)さん！それはそうと、M君はストリップ行った事あるんやなあ」
　客M「う、うん。時々…」
　私　「M君は真面目そうに見えるから、あんなトコに行くとは思えへんかったわ」
　客M「慰安旅行で温泉地のストリップに行った時は腹が立ったで」
　私　「何でや？」
　客M「さて時間ですよと出てきたのが、券のもぎりをやってたおばちゃんやった」
　私　「もぎりが衣服をもぎりとって、秘密のベールを剥がしたんか」
　客M「秘密のままにしといてほしかったわ。えらいもん、見てしもたわ」
※もぎり＝劇場・映画館などの入口で入場券の一部をもぎ取って渡す人。

　一句：ストリップで　真面目の仮面　剥がされて

作詞：風ぐるま

私は11人兄弟の末っ子で貧乏育ちでした。
結婚をして娘を授かった時には、貧乏な思いをさせたくないと一所懸命に働きました。
将来は二世帯住宅を建てて娘を囲んで幸せな家庭を築きたいと、夢に抱き頑張りました。
しかし勇み足で商売に失敗をし、借金を返す為に朝早くから夜遅くまで働いたので、家庭を振り向く暇もありませんでした。
仕事に励んでいるさなか、4年前に娘を亡くしました。私の気持ちが伝わることなく愛する娘を失くしたのです。
「今まで何をやってきたんや」
娘には何も構ってやれずに寂しい思いをさせたまま先立たれ、悔いるばかりでした。
生きる望みをなくした私は仕事のやる気もなくし酒と涙にくれる日々をすごしました。
しかし、25歳でこの世を去った娘が皆に忘れ去られるのは忍びないと、娘の友達と娘を繋ぐHPを作りました。
友達とふれ合ううちに「私が娘の自慢できる父親になる事が、天国の娘が喜んでくれる」と思う様になりました。
私が生きている限り精進して、娘の自慢できる父親になる為にずっとずっと努力しようと思っています。
そういう思いでこの『風ぐるま』を作詞しました。

『風ぐるま』

いつか幸せを　掴もうと
夢を追いかけて　生きてきた
読めないドラマに　翻弄され
荒波を越えて　来たつもり
ふと立ち止まり　空見上げれば
なくしたのに気づく　愛する人を
ああ、人生カラカラカラカラ　カラ回り
世間に吹かれる　風ぐるま
心の憂さを　流そうと
酒におぼれて　愚痴る日々
悔恨の味　ほろ苦く
うちひしがれる　カウンター

庭に一輪　ひまわりが
光りを享け入れ　活きている
ただただ明るさ　振りまいて
愛とよろこび　与えくれ
その慈悲深い　大輪見れば
なくしたのに気づく　大切なモノ
ああ、人生カラカラカラカラ　カラ回り
世間に吹かれる　風ぐるま
心の隙間　満たそうと
ほのかに芽生えた　心意気
厳しい冬を　耐えぬいて
あなたの笑顔　迎えたい　

ああ、人生カラカラカラカラ　カラ回り
世間に吹かれる　風ぐるま
辛い風向き　変えるため
御空に誓う　起死回生　
春の訪れ　信じつつ
希望に燃える　熱き胸


一句：わが人生　風に吹かれて　空回り

マイミク来店

　今日、マイミク(mixi仲間)が若い男女2人を連れて来た。オンラインで知り合ったマイミクが来店したのは初めてだ。
　彼はブログのプロフィールでは52歳とあるが、若くてとても50代には見えない。私が描いていたイメージとはかなり違った。
　「若く見えるねえ」「え、ほんと♡」「とても65歳には見えへんなあ」といきなりギャグを洗礼。
　マイミクは「ここのマスターはいつも寒いギャグを(ブログで)言うからなあ」とお連れさんに説明、私は「冬は風邪をひくかも知れんが、夏はクーラー要らんで」と返した。
　彼らはカラオケの点数にはまり、終電車の時刻はとおに過ぎてしまった。
　彼らが帰ってから時計を見たら12時50分、マイミクさんは妻帯者なので表札が替わらないか心配をした。

　一句：マイミクの　初来店に　感激

アチャコ

　「最近の漫才は一発芸やしょうもないギャグばっかりで面白ないわ」の話から、しゃべくり漫才で名声をはせたエンタツ・アチャコの話が出てきた。

　お客「俺、花菱アチャコの息子知ってるわ」
　私　「へえ、何で知ってるの？」
　お客「大阪で飲食店やってわ。先輩に連れられて何回か飲みに行ったことがある」
　私　「店の名前は、アチャコか？」
　お客「違う、他の名前やった」
　私　「アチャコの名前付けたらええのに」
　お客「今どき、そんな名前付けても誰も知らんし、はやらんで」
　私　「いや、支店をぎょうさん持てる」
　お客「なんで？」
　私　「アチャコだけに、アチャコチャに」

　一句：今は過去　アチャコの名では　店、流行らん

氷

　冬、真っ只中、今日も寒い。水割りを作る為に、製氷機の氷をすくいアイス・ペールに入れた。

　私　「あ～冷た。氷が凍ってるわ。こうりゃ参ったなあ」
　客A「当たり前やがな、氷が温かったら溶けてあれへんがな」
　私　「アイスンマセン」
　客A「マスターの寒いダジャレはもう、こうりごり(懲り懲り)や」
　客B「マスターの寒いダジャレで風邪ひくわ」
　私　「ほんだら耳からダジャレ・ウイルスが入らんように、耳にマスクしときや」

　一句：マスターの　極寒ダジャレで　風邪をひき

ハゲの原因

　当店のお客さんは私のダジャレを期待する傾向がある。

　私　「ダジャレを考えなアカン思て常に神経使うから、髪の毛が減るねん」
　客A「ハゲは遺伝とか体質やと思うけどなあ」
　客B「寝方もあるで。枕に当ってる部分がこすれてハゲるねん」
　私　「俺の頭のてっぺんがハゲるってことは、逆立ちして寝てるってことか～」

　一句：年配は　ハゲを肴に　酒を飲む

浦島太郎

　裁判員制度の事が話題になった。断ると10万円罰金。

　私　「裁判員制度、あと3ヶ月やね、行きたないわ」
　ママ「罰金の10万円は勿体ないし、どうしたら行かんでもエエねんやろね」
　お客「妊婦は断る事が出来るらしいで」
　私　「そうか、俺今から仰山食べたりビール飲んだりしてメタボ腹になり臨月やて言うたろ」
　ママ「アンタ男やろ、それは無理！」
　お客「それと、75歳以上は裁判員の通知はけえへんで」
　私　「そうかいな。早(ハ)よ75歳になる方法は無いかなあ」
　ママ「よけい無理な話や」
　私　「あっ、あるある、エエのんあるわ」
　お客「ある訳ないやろ。一体、何やねん」
　私　「玉手箱や、浦島太郎が一瞬にしておじいさんになったで」
　ママ「あれはおとぎ話やんか。現実には無いわ」
　私　「浦島太郎がうらめしい。うらめし太郎…」

　一句：玉手箱　使って避けたい　裁判員

心配性

　最近は自転車でも法規が厳しくなった。だからお客さんが自転車で帰る時はいつも心配だ。
　
　私　「自転車でも飲酒運転で捕まるからな。気ぃつけて帰りや」
　客A「大丈夫、そんなに飲んでないから…」
　私　「電燈も点けや、無灯火で捕まるで」
　客A「それも、大丈夫や。いつも点けてるで」
　私　「それと安全の為、ちゃんとシートベルトしーや」
　客A「それは…、自転車にあったら危ないで。それにしてもマスターは心配性やなあ」
　私　「Aさんが事故にでも遭(オ)うて、もしもの事があったらと思うと心配でしゃーないねん」
　客A「有難うな、お客さんの事をそこまで心配するマスターは何処にもおらへんで」
　私　「いや、お客さんが減ったら困るから…」

　一句：心配にも　色々あります　心配性

血液型自分の説明書メーカー

　マイミクのブログで『血液型自分の説明書メーカー』を発見。面白そうなので私も占ってみた。
　一通り目を通したが、あながち外れていなかった。

【私の診断の結果】http://www.ainet21.com/a-ketuekiimage.jpg target="_blank"

　「緊急事態で思考停止」
　(○)いきなりの口撃には頭が真っ白になり直ぐに応酬出来ない。暫く間を置いてから反論する。

　「NOと言えない」
　(○)以前はお人好しで失敗した事が度々ありました。今は場合によってはNOと言います。特に借金を頼まれた時には。

　「ドS」
　(△)サディズムではないが、時々、お客さんをコケにしたギャグを言って満足する事がある。

　「メモがキレイ」
　(×)メモは走り書きだから汚い。自分の字なのに後で何を書いたか分からない時がある。

　「ホメられて伸びるタイプ」
　(○)おだてられると調子にのるタイプ。今は「凄い！」と言われる趣味・特技を増やそうと頑張っている。

　みなさんも一度、試してください。
　『自分の説明書メーカー』http://setumeisho.com/ target="_blank"


　一句：嫁と占(セン)　当たり外れに　泣き笑い