●慕嬢詩『なでしこ』

幼い君が庭で咲かせた
なでしこの花が揺れている
その小さな手がすくい上げた
光る土の中に愛を蒔いたね
君はなでしこ　可愛いなでしこ
無邪気な笑顔で僕を見つめ
春の日差しに包まれて
いつか遠くへ飛び立つのか

手を離す時が来ると知って
僕は何度も思い出す
小さな君が初めて話した
「パパ、大好き」のその言葉
君はなでしこ　愛しいなでしこ
純粋な心で僕に笑って
夏の風に吹かれながら
君は自分の道を進むのか

月夜に君が眠る間に
僕は静かに祈っている
その笑顔がずっと守られて
花のように咲き続けるように
君はなでしこ　麗しなでしこ
思慕の想いを胸に秘めて
秋の空に夢を描いて
父の愛を忘れずにいて
君はなでしこ　僕のなでしこ
どんな時も君を見守るよ
冬の星に誓いを立てて
君の幸せを願っている

※慕嬢詩(ﾎﾞｼﾞｮｳｼ)＝亡くした娘を慕う気持を綴った詩・文。私の創作語。