チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

辺野古住民の抗告訴訟が結審、判決は来年3月19日(浦島悦子さんの口頭意見陳述文掲載)

2019年12月11日 | 沖縄日記・辺野古

 今日は中村哲さんの告別式が行われる。心からのご冥福お祈りしたい。

 昨日(12月10日)は、那覇地裁で辺野古の住民ら15名がおこした国土交通相の裁決取消訴訟(抗告訴訟)の第5回口頭弁論を傍聴した。

 原告の浦島悦子さんが口頭意見陳述に立った。浦島さんは、2004年からの長い闘いの中で出会った辺野古のおばぁたちの言葉を引用し、「自然や海に支えられて生活を営んできたのが、この地域の住民の歴史です」と述べられた(浦島悦子さんの陳述の全文は末尾に掲載)。

「私たちがこの地で生き続け、子や孫たちにその豊かさを引き継いでいけるよう、人間として最低限の、あまりにもささやかな願いを、国民を守るべき国が問答無用で押しつぶそうとする不条理に対し、裁判所の賢明なるご判断を賜りますよう、心よりお願い申し上げます」という浦島悦子さんの心からの訴えを、裁判長はどのような思いで聞いていただろうか?

              (口頭弁論前の集会、浦島悦子さんの挨拶)

 浦島悦子さんと弁護団からの陳述の後、裁判長は、審理を尽くしたとして結審を宣言した。判決は来年3月19日に言い渡される。

 弁論後の集会では、弁護団は今までの裁判長の訴訟指揮を一定評価し、判決への期待を述べた。しかし、この訴訟では原告適格の問題以外にも国の審査請求や裁決の妥当性が問われている。全く証拠調べも行わないまま結審したのだから、原告適格の問題で却下されるのではないかと危惧される。

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意見陳述要旨(浦島悦子)  2019年12月10日 

 私は1948年、現在の鹿児島県薩摩川内市に生まれました。沖縄には、1990年から住んでいます。私は子どもの頃から自然の中にいることが好きでした。都会で暮らしていた時はあまりにも自然がなく、自分の足元に空洞が開いているような不安に苛まれ、自然に抱かれた暮らしを求めて現在の地域に住むようになりました。 

 海と山に抱かれた辺野古・大浦湾沿岸地域の人々は、自然の恵みに支えられながら暮らしと文化を育み、緊密な人間関係の中で互いに助け合いながら歴史を紡いできました。そのささやかな営みを壊したのが、1996~7年、この地に突然降ってわいた辺野古新基地建設計画でした。以来23年間、この問題は、国のいわゆる「アメとムチ」政策によって地域コミュニティを分断し引き裂きながら住民を翻弄し続けています。 

 「母なる海」を破壊するこの計画について、辺野古・大浦湾沿岸住民はこぞって反対運動に立ち上がり、私も一住民としてそれに参加するようになりました。その中でも、今年3月、満105歳で亡くなった辺野古の島袋ヨシおばぁの在りし日の姿が私の胸に鮮明に残っています。2004年、私たちが座り込んでいた辺野古漁港近くに、当時の那覇防衛施設局=現在の沖縄防衛局の役人がやってきて「工事をさせてください」と頼みました。当時の政府はまだ、現在のように問答無用ではありませんでした。いちばん前に座っていた当時90歳余りのヨシおばぁは、自らが体験した戦争の過酷さ、戦後の焼け野原の中で海があったから、海のものを食べて命を繋ぎ、海産物を売って子どもたちを育てることができたと語り、「海は命の恩人。基地に売ったら罰が当たる。どうしても造ると言うのなら私を殺してから行きなさい!」と迫ったのです。防衛施設局の役人は、その言葉にただ涙を流して帰って行きました。その役人もまた、沖縄で生まれ育ったウチナーンチュでした。

 また、数年前、100歳近くで亡くなった汀間集落のあるおばぁは「食べ物も着物も薬も、みんな自然から来る。自然を壊したら生きていけないよ」と口癖のように私に言って聞かせました。文字どおり、自然や海に支えられて生活を営んできたのが、この地域の住民の歴史なのです。 

 辺野古・大浦湾の海草藻場を餌場とし、その豊かさの象徴であったジュゴンが、基地建設工事の進行とともに行方不明となりました。埋め立て工事によって海の豊かさが日々失われつつあることを実感している私たちには、ジュゴンの行く末が自らの行く末と重なって見えます。自然は単なる景色でありません。現在わかっているだけで5800種以上と言われる大浦湾の生きものたち、その命のつながりが、私たちの命と暮らしを支え、文化を育む基盤です。その基盤を失えば私たちは生きていけません。私たちがこの地で生き続け、子や孫たちにその豊かさを引き継いでいけるよう、人間として最低限の、あまりにもささやかな願いを、国民を守るべき国が問答無用で押しつぶそうとする不条理に対し、裁判所の賢明なるご判断を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

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