11月25日(火)、「基地の県内移設に反対する県民会議」が、井上沖縄防衛局長に辺野古新基地建設強行に抗議の申し入れを行った。糸数恵子参議院議員や県会議員らも同席された。
まず、交渉団は、「先の県知事選で示された民意を尊重し、辺野古埋立の強行を中止せよ!」と申し入れた。しかし、井上局長は、どんな質問に対しても、「辺野古への移設は普天間の危険性除去のための現実的な方法であり、安全に着実に一つひとつ事業を進めていきたい。」と繰り返すだけ。あまりの不誠実な対応に皆の怒りは爆発した。しかし局長は、「知事選の結果についてコメントは差し控えたい。海底ボーリング調査の再開に向けて準備を進めている。」という態度を変えなかった。
冒頭、安次富ヘリ基地反対協共同代表から井上局長に抗議文を手交した。
(メモを見ながら同じ答弁を繰り返す井上局長)
交渉の後半は、防衛局が強行しようとして何故か中止(延期)となった「仮設桟橋」「仮設岸壁」の問題に集中した。我々からは「仮設のものではないから、県に設計概要の変更申請が必要だ。このまま工事を強行すれば公有水面埋立法13条に違反する。」と抗議した。このやり取りの中で次のような事実が分かった。
1.「仮設桟橋」「仮設護岸」の2つを作るのではなく、大浦湾の辺野古崎近くに「仮設桟橋」(ただし岩礁破砕の許可申請では「仮設護岸」としていたもの)を設置する。
井上局長は次のように言明した。「海底ボーリング調査に使用するための仮設の桟橋を設置する。岩礁破砕の許可申請上は仮設岸壁として申請したが(筆者注:許可申請では、「仮設桟橋」(長さ65m)と「仮設岸壁」(長さ300m)の2つを設置するとしていた。)、この仮設桟橋を1ケ所に設置することを計画している。この仮設桟橋は必要がなくなれば撤去する。」
「申請書の中では仮設岸壁としたが、それは海上ボーリング調査に使用することを目的としている。従って海上ボーリング調査が終わればこの仮設桟橋は撤去することを予定している。」
2.防衛局はこの「仮設桟橋」は海底ボーリング調査が終われば撤去するというが大浦湾に投入された割栗石の撤去は不可能である。また「根固め用袋材」は袋部分が破損しやすく中に入れた砕石が流出する恐れが強い。
この「仮設桟橋」は、陸上部から、まず基礎部分の割栗石を投入・敷き均し、その上に捨石を入れた「根固め用袋材」を積み上げて護岸とする。防衛局は、「仮設桟橋は撤去することを前提に作業を進めていく。」と主張するが、この日の交渉でも、「可能な限り、現時点においては撤去するという方向で来ている。」と言葉を濁したが、投入された割栗石、袋材から流出・散乱した砕石の撤去は不可能である。
3.従って、この「仮設桟橋」造成のために投入された割栗石、砕石は海に残るものであるから、防衛局は県に対して公有水面埋立法第13条に基づき「設計概要の変更申請」を行わなければならない。このまま強行することは違法である。
なお、下に防衛局が県に提出した岩礁破砕の許可申請書の中で、この「仮設桟橋」「仮設岸壁」について触れた部分である。(その他の位置図や平面図・構造図等の設計図書は、防衛局の要請により県は全て黒塗りの非公開とした。)
正午からは、防衛局前で県民会議主催の抗議集会が開催された。井上局長との交渉は、この集会後に行われた。
局長への抗議の交渉の後、辺野古のシュワブ前の座り込みテントに行き、交渉の内容を報告した。