シャンプー

サキタのシャンプーは、実は未だに膝の上に仰向けにする新生児スタイルだった。
テパ妊娠中も、さてどうしたもんか、平日は私が入れなければならナイけれど、お腹が大きくなって来たらムリだぞ？とは思っていた。
だけど、サキタは顔が濡れるのを嫌がる。
かなり嫌がる。
それはまるで、幼い頃の自分を見ているようで。

うんうん、私も水に顔をつけられなかったもんだよ…。
シャンプーは全力で拒んだし、シャンプーハットも気休めにもならなかったし、何故か顔にお湯を掛けずにシャンプーができる千矢父とお風呂に入りたがったもんだよ…。
ハルトくんはどうだか知らないが、泳ぎが苦手なので、幼い頃は私と似た様なもんだったかもしれない。

なので、これまでずっと新生児スタイルを貫いて来てしまった。
私もハルトくんも、「いつまでもこれではいけない」と思いつつも、これだけは甘やかして来てしまった。
つーか、ぶっちゃけ泣かれるのが面倒で！！

けれど、また私は妊娠した。
サキタも、今週金曜日には2歳になる。
サキタが大きく重くなったことに加え、やがてお腹が大きくなる私に、これまでのスタイルを続けていくのはそろそろ限界だ。
ハルトくんと意見が一致したところで、サキタ用にと小さな浴用椅子（大人と同じ形のシンプルなもの。以前使っていた子供用はとっくに片付けている）を用意した。
そして、昨日から「椅子に座って下を向いてのシャンプー」が強行されたわけだ。
昨日はハルトくんが入れてくれたのだが、キャッチ役の私が外で聞いている限り、サキタの激しいギャン泣きはそれはそれは凄まじいものだった。（´ω｀；
やはり、もっと小さい、恐怖も何もわけわからんうちにやっておくべきだったね～。
出て来たサキタは、「がんばった～！」「こわかった～！」「いっぱいのんじゃった～！」と、その体験を泣きながら訴え、くたびれ果てて寝たよ。

「最初は喜んで椅子に座ったのだけど、髪を濡らそうとシャワーを掛けた時点でびっくりしちゃって、もうそこから怖がっちゃってさ。
もう嫌がるのを無理矢理やったから、顔にもたくさん掛かっちゃってね…。
泡を流す時も下を向いてくれればイイんだけど、怖くてできないみたいだから、強引に流したよ。
泣いてるから飲んじゃってるような咳をしてて、一応短く掛けて止めてを繰り返したんだけど、多分すごくお湯をたくさん飲んでしまったと思う…。
可哀想だったけど、仕方ナイしね…」

ハルトくんも消耗していたけど、サキタが頑張る姿にちょっと感動しているような。
そうか、サキタもハルトくんも頑張ったのね…。
でも明日から、これを全部私1人でやるのね…。orz

で、今日だよ。

なるべく機嫌を損ねないように注意してお風呂へ誘導。
しかし浴室へ入ると、サキタは小さな椅子を見つけ、思い出したのか「すわらない～！」と泣き出した。
しらばっくれつついつもの段取りで入浴。
まずは私のことを全部済ませ、サキタの顔を拭いて体を洗い、最後が問題のシャンプーなのだが。
その段階まで来て私がサキタの椅子を持ってくると、完全に油断してしまっていたサキタは、もう堪らない。
部屋では「いすにすわって」「こうやって（頭を下げる）」とわかっているような素振りを見せたりもしていたけれど、やはり怖いものは怖いのだろう。
泣き喚くサキタを椅子に座らせ、タオルで後頭部だけをそっと濡らし、シャンプーを泡立てて開始。
流す時までは顔を濡らさずに済むよう、少しずつ泡を増やして前髪までカバーした。

さーて、問題はここからなのだけども…。
シャワーを出しただけで、もう怯えて「だっこで～～！！」と喚いているこの子をどうしたら。（´ω｀；

後頭部で顔が濡れないところなら大丈夫かとも思ったけれど、どうやらそういう問題でもナイらしく、とにかくシャワーを頭に掛けられるというのに拒否反応を示すようだった。
仕方がナイのでどうしても下を向くことができないサキタを対面抱っこにし、私の肩に額を押し付ける格好で下を向かせて抱え込み、シャワーの水音に負けナイくらいの声で励ましつつ、強行突破することに！
泣きじゃくる時にどうしてもお湯を吸い込んでしまうようだけど、下を向いている分にはたいしたことはあるまい！

「ママがついてるから頑張れ！　ママは強いんだから、ママがいれば何も怖くナイ！　ママと一緒ならサキタも大丈夫！　サキタはママの子だから大丈夫！」

かなり強引な説得を続けつつ、暴れるサキタを押さえつけ、一気に最後まで流しきった。
軽く仰向けにして額側からシャワーを掛けて髪を後ろへ流し、顔を拭いて一段落。
泣き喚くサキタには悪いが、ハルトくん同様、必死に頑張るサキタに感動して涙が出そうになっている私がいた。（オイ）

「がんばった～、ママつよい～、なにも、こわくない～！！」

泣きながら、自分を励ましているのか頑張りを認めろとのアピールか、私が言ったことを噛みしめる様に繰り返すサキタ。
きっと、頭ではどうすればイイのかわかっているし、ハルトくんや私の言っていることもわかっているのだ。
だけど、どうしても恐怖が先に立って、それを実行できないでいる。
それでも強引にやられるのを、必死に耐えて頑張ったのだ。
エライ！　エライよサキタ！！
こうなる前に、もっと早くから習慣づけてやらなくてゴメンよ！

慣れるまでには、まだしばらくの時間が掛かるだろう。
だけど、サキタは頑張れる。
泣き喚いてはいたけれど、そう感じられるような姿だったよ。
お風呂自体を怖がって嫌いになりそうだけど、私も大変だけど、一緒に頑張ろうね。

つわりで吐きそうな上に、のぼせて倒れそうになりつつも、まぁ何とかなったわな。

週末 ２

今日も昨日と同じく、ハルトくんに頑張って貰った1日。
気分がマシになる時間帯が短かったし、やはり肌寒い天気だったので、昨日の出血を受けてより長い時間をベッドの中で過ごした。
おかげで、出血は止まったようだ。
焦った焦った。（゜-゜；

夕方、ハルトくんが「30分だけでイイから、代わって…　疲れた…」と部屋にやって来た。
手にはご丁寧に、即行入眠するための大学時代の教科書。（＾-＾；
そうだよね、疲れたよね。

そこで、ハルトくんと交代し、サキタが遊んでいる子供部屋へ。
ハルトくんに寄って組まれたプラレールの線路がばっちりセッティングしてあるので、サキタはここで遊ぶのが大好きだ。
そして何故かトンネルの模型が大好きで、レールのあちらこちらにしょわしなく移動しては、がっぽがっぽとトンネルを取ったり被せたりと動かしている。
そうかいそうかい、ならこんなのはどうだい？と、同じく部屋に置いてあるレゴブロック（デュプロシリーズという1歳半からのデカいブロック）で、トンネルを作ってやった。
トンネルの上には動物を配置して、カラフルで楽しいトンネルのできあがり♪
サキタは大喜びで、トンネルに更にブロックを付けてみたり、レールの別の個所に移動させてみたり。
プラレールと言いレゴと言い、こうして遊びを広げられるし、コラボもできちゃうから、工夫次第でいろんな風に長く遊ぶことができてイイね。
どんどん想像の輪を広げて、自分なりの遊びを模索していって貰いたい。
まだまだ自分の力ではそうすることが難しいうちは、たまにこんな風に一緒になって何か新しい遊び方をして見せるのも、イイかもしれない。
まず「あ、そんなこともできるんだ」という発見があって、その後に「じゃあ、こんなのはどうかな？」という応用に繋がるのだと思うしね。
残りのブロックで今度は小さなトンネル（というよりゲートのような）を作り、同じようにレールを跨がせてみたところで、ハルトくん登場。
いやに早いな、と思ったけれど、しっかり30分が経っていた。
一緒にムキになって遊ぶと、時間が経つのは意外と早い。（＾-＾；

因みにハルトくんは、子供の頃にレゴもプラレールもよく遊んでいたそうなので、サキタと遊ぶのが上手いのは勿論、自分で楽しむのも上手いよ。
サキタも、「パパ、すごぉい！！」と大絶賛だ。
特に、ハルトくんが「プラレール最強説」を唱えているのに笑った。
（最強の所以　：　「交換部品の嵐だから」。プラレールは交換部品の取扱いが多いらしいね～）

夕飯は、さすがに家事に疲れたハルトくんが外へ食べに行こうと言い出した。
勿論私の体調がキツければ家で作ることもできるし、作るよと言ってはくれたのだけど。
提案されたお店は以前からハルトくんが気になっていたという美味しそうなパスタ＆ピザ屋さん。
ちょっとくらいハルトくんにもイイことがナイとね、楽が出来ないとね、というわけで、手早く身支度を整えて出掛けることにした。

結論から言うと、この判断は大正解♪
前菜1皿、パスタとピザを1種類ずつ頼んで3人でシェアして、美味しく満足できたよ！
本当言うと、ハルトくんも私ももう少し食べられる感じではあったのだけど、丁度不満も残らず食べ過ぎもせず、というベストな状態で食事を終えられたような～。

サキタを寝かし付けた後、ハルトくんは堪え切れないようにコンビニへと出掛け、ビールとお菓子とおつまみを用意して、録画していたサッカー（イングランド×日本戦）を堪能したのでした。
（前半終わったとこで寝ちゃったけど）
お疲れ様、ありがとうね！！

週末 １

例に寄って、午前中は屍。
はっきり言えば、睡魔よりも気持ち悪さが勝つくらい酷い。
うとうとしたり吐き気と闘ったりしながら、ようやく起きられるようになったのは11時を回った頃だった。
ハルトくんは、いつもより少しはゆっくり寝たサキタと一緒に、家事をやったり遊んだりしてくれていたようだ。
スマンねぇ…。
お腹の子は私が100％引き受けているとはいえ、やはりサキタの相手は疲れるよね…。

私が遅い朝食（というよりもう時間的に昼食）を食べている間、近くの公園まで出掛けた2人。
思っていたより早く帰宅したかと思ったら、サキタは昼寝を始めてしまった。
昼食を食べてから寝て欲しいところだったけど、朝からはしゃぎ回って疲れたようだね。
サキタをそのまま寝かせると、不自然な態勢で居眠りをこき始めたハルトくんをソファに促し、寝れる時には一緒に寝たら？と昼寝して貰った。
どうせサキタはすぐ起きてしまうだろうし、そしたら1日のうち僅かに体調が回復する11～14時くらいの間は、私がサキタの相手をしてやれるだろう。
私は食べたばかりだし、サキタにだけ食べさせるのなら、それほど大変なこともなかろう。

そしたらさ、いつものパターンだよ。
こういう時に限って、サキタは起きナイの！！
お昼寝布団からむくっと起き上がったかと思ったら、ソファに寝ているハルトくんに縋る様に突っ伏して、眠そうに愚図愚図言ってみたりね。
ちょっと肌寒い天気だったので、ハルトくんのお腹の上にサキタを載せ、その上からタオルケットを掛けて、2人でぬくぬく寝られるようにしてやったところ、2人が起きたのはもう16時近くなってからだった。（＾-＾；

私はというと、ずっと横になっていると腰が痛くなって怖いし、サキタが起きるのを待っていたのもあって、リビングの端でネットをしていたのだけど、すっかり体が冷えてしまった。
少しずつゆっくりと冷えていったので、自分では肌寒いと思いつつも、それほどではナイと思っていたのだよね。
しかし体感温度がオカシイほどに寒がりの私、妊娠して体温が少々上がっているせいか、ますます寒がりになっている。（妊婦は暑がりと聞くけどね？）
体が冷えてしまったのはマズイかしらと、ベッドに戻ることにした。
その前にトイレへ行ってみると、まさかの出血ー！！　Σ（゜д゜；
うわーごめんなさいごめんなさい、冷えは禁物ー！！

そしてそこからもハルトくんに全てを任せ、ベッドに潜り込むことになったのだった。
スマン…。

何とかかんとか。

さすがに休み過ぎだろう、と今日は無理矢理起き上がっての出勤。
起きて来た私の顔は相当酷いもんだったようだけど、4月に20日入った有休が、もうこれで半分なくなったの！！
勿論会社の母性保護規程とかで、「正当な理由があるなら、無給で良ければ休んでもイイよ」という決まりはるのだけど、だからと言ってそうそう休んでばかりもいられナイ。
今回のつわりは、何故だかサキタの時よりもテパの時よりもキッツイような気がするけれど、だからといって治まる予定の10週まで休み続けるわけにもいくまいよ。
ならいっそ退職しろっつーね。

気合で起き上がり、サキタの面倒は千矢母とハルトくんに任せ、のろのろと自分の支度をする。
今日の夜まで千矢母がいてくれる予定になっているので、勤務中は仕事に没頭して気を紛らわせつつとにかく耐えて、夕方帰宅したら、またちょっと横にならせて貰おう。
明日からはまた週末で休みだし、悪いがハルトくんに頑張って貰って休むことができる。
この際、ワガママだ怠慢だ何だと罵られようと、無理はしない！
気持ち悪いもんは悪いのだ！　おええぇぇ。（ホラね）

そんな状態で何とか出勤。
やはり最後のバスに酔い、到着するなり自席で突っ伏した。
もともと車酔いをする性質なのだけど、何もせずとも気持ち悪い状態なので、輪を掛けて酔いやすくなっているようだ。
電車は、割と真っ直ぐ決まったスピードで走るから、大丈夫なのだけどな…。
因みに私の苦手な乗り物トップ3は、1位　タクシー、2位　千矢父運転の車、3位　バスだ。
（毎日乗るバスは会社と駅を往復しているシャトルバスみたいなものなので、3位に近い）

「む、無理しない方が…！　（゜д゜；」

親切に声を掛けてくれる先輩もいるし、私の仕事なんか代わりにやってくれる人もたくさんいるけれど、甘えてばかりもいられナイのよ。
大丈夫、無理はしません。
気持ち悪いのは私だけの問題なので、職場まで来たらこの際もうどうでもよろしい。
お腹の赤ちゃんに影響が及びそうになったら、お言葉に甘えて早退でも休暇取得でもさせて貰いますからー！

幸いそんなことにはならず、無事に帰宅。
会社の最寄り駅に到着したところで、心配しているであろう千矢母にメールを入れる。
すぐに返って来た『よく頑張ったね（＾-＾）　帰ったら少し休みなさいね』というメールに、ホッとしたら泣きそうになってしまった。
結局私は、いまだに千矢母に甘ったれているのだね。

千矢母にはまたサキタの寝かし付けまでいて貰い、ようやく長い1日が終わった。
ハルトくんは最近金曜日になると皇居の周りを走りに行く（皇居ランというらしいね）ようになったのだけど、今日も出掛けたようだよ。
私や千矢母の状況を見て、止めてもイイと思っているとの事だったので、行くように言ったのだ。
週末がっつり頑張って貰うことになってしまうだろうから、出来ることなら今のうちにリフレッシュしておいてくれ、と。（爆）

先週といい今週といい、2週間合わせても4日しか出勤していないというね。
週休5日制ー！！　orz

アイスと甘酸っぱさとしょっぱい思い出。

今日も今日とて、つわりビッグウェーブ。
つわりは「自分以外の（つまり旦那の）遺伝子を持つ子がお腹にいるために起こるアレルギー反応のようなもの」らしいのだけど。
ツリ目以外の全てのパーツがハルトくん似のサキタ妊娠中も、サキタに激似のテパ妊娠中も、ここまで酷くなかったように思う。
ということは、今お腹にいるこの子は、全てがハルトくん似ということか？
私の遺伝子なんか、ほとんど受け継いでイナイのか？
…と思うほど、今回の気持ち悪さは半端ナイ。
けれど、吐きまくったり、物が全く食べられなくなって点滴を受けたり、管理入院になったりというほどではナイので、これでもマシな方なのだろう、と自分を騙している。

今日も仕事は休み、全ての家事とサキタの面倒を千矢母に任せ、ぐったりとベッドに転がっていた。
夜になると、超今更的に多少気分がマシになるので、痛くなった腰を伸ばすべく、少々起きていた。
ハルトくんは、今日も飲み会に行ってしまった（急に）。
千矢母は先に寝てしまったのだけど、昨日もそんな感じでハルトくんの帰宅を待たずに寝てしまったので、顔くらい見てから寝ようかと、私は1人リビングでハルトくんの帰宅を待っていた。
帰るコールによると、後30分もすれば帰宅するようだったからね。

やがて帰宅したハルトくんは、リビングのドアの隙間から、中を伺うように首だけを突っ込んできょろきょろ。
私の姿を見ると、若干固まった。

「おかえり。昨日も先に寝ちゃったから、今日は顔くらい見てから寝ようと思って待ってたの。（＾-＾）」
「…そうかぁ、ありがとう！…（＾-＾）」

その変な間は何だと思っていたら、ハルトくんは手にしていたコンビニのビニール袋を差し出した。
あれ、お土産なんか買って来てくれたの？　（*＾-＾*）

スーパーカップのバニラ。しかも1つ。

我が家では、ハルトくん定番のアイスだった。（私はその都度新しいものを試したり、何かごちゃごちゃした変わりダネを好むので、まずバニラは選ばナイ）
この時点で、ハルトくんの意図が汲み取れるというもの。

皆が寝静まっている上で、1人でアイスを食べようと自分の分だけを買って来たんだね。
だけど私が起きていたから、私に差し出さナイわけにはいかなくなったんだね。

ありがとう。遠慮なくいただく。

にっこり受け取った私がソファでアイスを食べていると、ハルトくんが「ちょっとちょうだい」と手を出して来たので、半分こしたよ。

「きっちり半分食われた…（-_-）」
「あれ、私へのお土産なんでしょ？　（＾-＾）」
「そうだよ、半分も貰っちゃって、すまないねぇ」

アイスを食べながら、たまたまやっていた青春ドラマのようなのを見ていたのだけど。
何かもう甘酸っぱくて見られたもんじゃなかった。（爆）

「話聞いてるとさ、ちやの青春って全然甘酸っぱくナイよね」
「ハルトくんはベタに甘酸っぱいよね」
「俺だって、ちやの甘酸っぱい思い出話を引っ張り出そうと頑張ったけどさ、全然甘酸っぱくならナイんだもん。諦めたよ…」

やーい、そんなしょっぱい女、嫁にしてやんの！