まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

LOVE MONEY

2020-03-12 11:40:46 | 日記
ゆるっと手伝ってることの一つに(そういや「ゆるっと手伝ってること」がなんだかいろいろあるな)「カフェ開業メソッド」っていうのがあって、
横浜の某有名カフェの店長が指南する「カフェをやるってぇことはだな」コンテンツ満載のサロンなんだけど
先日ここの企画でスペゲスさんをお招きしての講座があったので、レポーターとして参加してきた。

その人のどこがスペシャルかというと、「3坪の飲食店を営みながら、年商6千万」っていうのがわかりやすいところかな。
やっぱりさ、え?ろくせんまん?ってなるじゃない。それも飲食という、単価が決して高くないものを商っていながらにして。
講座はあっという間に満席。キャンセルでてもすぐ埋まって。

カフェの店長とスペゲスさんは「店主友達」とでもいうのかな。それぞれの月の売り上げが二人して目標達成したら飲みに行こーぜ、っていう約束をしてるくらいの仲良し。
私はカフェの店長とは長いお付き合いなのでお人柄と仕事に対する思いなどはとてもよく知ってて、とても尊敬してる。
で、スペゲスさん。彼のお店には1回か2回行ったことがある。でもほとんど人となりを知らなかったので、講座の打ち合わせの時に初めてまともに話を伺った。

彼はセカセカと喋る人だった。カフェの店長はとてもゆっくり喋る人だ。
そしてあからさまに人を蔑むような台詞を吐く人だった。カフェの店長は、少なくとも私が知る範囲で、そのような発言をしたことはない。
それらはほんの一部だけど、一体どうしてこの二人が仲良しなんだろう?と不思議に思った。あ、彼はカフェの店長のことは大好きで尊敬してるんだそうだ。
カフェの店長も、彼のことは「自分にないものを持っている」ので、注目してるんだって。

そして当日。彼は真っ赤なキャップに黒々と「社長」と書かれたものを被り、前面にでかい猛獣が牙を剝く意匠のトレーナーを着ていた。
一体何と戦っているんだろうか。そのいでたちで、長いストーリーが語られた。

派手に打ち上げ花火をあげてオープンしたものの、慣れない対応ですっかり評判を落とし、そこから2年は赤字だった。
そこへ「通販やりませんか」と誘いを受け、タピオカに目をつけて、なけなしの貯金でプロを雇いホームページを作り、広告を打った。
去年、空前のタピオカブームを迎え、仕入れ先を必死に繋ぎながら売り抜いた結果の6千万。
だがいつまでも続かないのは目に見えているので、次なるターゲットに照準あてて新規店舗オープン準備真っ最中。

最初の2年でメンタルがやられなかった強さも、タピオカに注目する鋭さも、いざというときに思い切りよく投財できる勇気も、素晴らしいと思った。
だけどなんだろうな、尊敬はしないんだよ。どうしてかって言ったら、一番は、扱ってる商品と、お客に対して愛を感じないから。
太い客は大事にしろ、とか、別になんでもよかったんだけどたまたまフランチャイジーの話があったから始めただけ、とかね。
あとはこの商店街に店を構えて良かったと思うか?と聞かれて、全然全く思わない、むしろ違うところの方が良かったかも知れない、とか答えたりね。
珈琲を愛してて、商店街を愛してて、自分もお客様も幸福であることを願って仕事してる、カフェの店長とは違うんだよね。
それと、以前一度そこで食べた「まぜそば」がちょっと残念だったんだけど、その理由が判明した。食品ロスを極力抑えるために、保存性の高いアイテムを使ってるんだって。
桜海老とか海苔とか刻み生姜とかそういう感じのやつね。あとマヨネーズ。なるほどね。でもさ、美味しいと思うからこそ、人は繰り返し食べるんじゃないかな。

きっとその人を良く知ればもうちょっと違う景色も見えたかも知れないし、見せ方をちょっと間違えたのかも知れない。
だってさ、2年くらい前だっけな、店のシャッターに汚い字で連続休業のお知らせが貼ってあって、
一番最初が横浜マラソンで、翌日が店主結婚式ってしれっと書いてあったのを見て、
なんだか気恥ずかしさと晴れがましさの混在する様子に温かい気持ちになっちゃったことがあるんだよ。

彼の新しい店がうまく行ってもそれはそれで良いと思うし、また失敗してもまた不死鳥のように蘇ったりしてくれたらそれはそれで面白いと思う。