まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

氷 埜庵

2017-08-17 18:13:06 | 日記

鵠沼海岸は小田急江ノ島線の駅です。
電車降りて5分も歩けばサーフポイントですってよ。
ってサーフィンなんかしない私たちにとっては無駄な情報です。
必要なのはかき氷の名店 埜庵さんの開店時刻、11時。
そして本日の限定 白桃150食。

「混んでるところでいかに待たないようにするか」
に命をかけてる旦那さま、昨晩から「明日は8時45分出発です。」と厳かに宣言。
えー!無理!早すぎる!と騒ぐ私たちに「わかったわかった、9時ね。」と譲歩。
寝坊が怖くて眠れないとか久しぶりに経験したもんだよ。

東海道線で思いがけなく座れたので藤沢まで爆睡。
小田急線の乗り継ぎ改札に駅員が鈴なり。
出口ではないことや、小田急の切符がないと通れないことを
一生懸命連呼しています。
江ノ島線、懐かしいような気持ち。
かつては新宿まで足が地につかないほどのラッシュに揉まれて
通勤通学してたのですよね。
今日の電車は夏休みモード、ワクワクした顔の人がたくさん。

藤沢からはたった二駅、目的地に到着。
ちょろっとした商店街を抜けるとすぐに住宅街、
その一つに見える「氷」の暖簾。
おお、本当に普通のお家なんだな。

着いたのはだいたい開店1時間前。
私たちの前には若い男性1人、若い母2名に小学生幼児4名のグループ、
おしゃれなお父さんと小さい息子二人。
テントの下に座ってメニューを選びます。

手書きのイラストつきメニューが素敵。
白桃、夏いちごは当然頼むとして、あとは変化球かなあ。
よし、黒糖パイン ココナツ練乳にしてみよう。
スタッフに伝えると、小さい紙っ切れに
「も、い、くろ」とか書いて渡してくれます。

30分ほど待った頃、店主が
「おはようございます。まだ11時ではないのですが
そろそろ行列もできてしまっておりますので
開店いたします。」と挨拶。
うわあいよいよだ!!
まずは1階の受付でお金を払って予約札をもらいます。
おお、受付は奥様です。本で見た見た。本物だ。
毎朝「今日はお客様来るかしら」って不安な思いで目覚めるって
書いてあったけど今朝もそうなのかなあ。
もし私が商社マンと結婚したつもりが
ある日会社辞めてきた、明日からかき氷やさんです
って旦那様に言われちゃったらどうしよう
腹くくれるまで相当時間かかるだろうなあ。
なんて余計なお世話ですよね。
おはようございます、って挨拶したら
とても優しい笑顔で返してくれました。

靴を脱いで袋に入れ、玄関から2階の急な階段を上がります。
民家です。普通のお家です。
テーブルが6つかな、7つかな。バルコニーにもありました。
古い木のテーブル、ちょうど膝の下に横木がカツンと当たります。
小さな紙コップが積んであり、お水やほうじ茶のポットがあって
セルフでいただきます。



あっという間に氷が運ばれてきました。
おお写真で見たのと同じ器だ。
シロップの入ったピッチャーは
去年デパートの催事で見たのと一緒。
そういえば木のトレイもゴムの網目の滑り止めも
見覚えあります。

練乳がまわしかけてある氷の上に
黒糖パウダーがふわっとかかっています。
一口食べると香ばしい甘い香りでいっぱい。
パインのシロップは想像してたより上品で
本来あるはずのゴリゴリの繊維は見当たらず。
おひさまいっぱいの海岸の日陰で
涼やかな風を感じるような
大好きな夏のエッセンス。ってカッコつけてますが
実際は溶けないうちにガンガン食べ進めます。
かき氷はラーメンと同じ、放置せず無駄口たたかず
さっさと食せよというのは
テレビでかき氷タレント(そんなのがいるのです)が
言ってたセリフです。

時折隣の苺や前の桃をつまみ食いしながら
どれも甲乙つけがたい、けど、
私のが一番美味しい!と
多分全員がそう思いながら食べてたと思います。
終盤に差しかかるとスタッフさんが
よかったらどうぞ、とストローをくれます。
最後の一滴までごちそうさま。
着席して30分で完食。


外に出来ている長蛇の列に
ちょっと優越感を感じつつ
海岸までお散歩。
穏やかな波、薄曇りの空の向こうに
真っ青な山脈が少しだけ見えます。

海や山を眺めながら暮らせる街っていいなあと思いながら
でも自転車錆びちゃうなあなんて考えて
そもそもそんなこと言う奴は
海辺に暮らす権限なし、と思いなおしました。

埜庵さん、美味しかったです。
秋や冬、他の季節にもまた伺います。