まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

Greek to me ギリシャごはん

2015-09-21 00:29:47 | 食録


なんでかっていうとね、
いつもいつも私に
楽しませてって要求する人だからよ。

っていうのが、
はるか昔にホームステイした先の
イギリス人女性が離婚した理由だった。

とても若かった私には
言葉の意味がよく飲み込めなかったけど。

でも週末毎に幼い娘息子に会いに来る
父親という人はとても優しくて
かいがいしく世話を焼きながら
子供らのおしゃべりに
いちいち、Did you?などと甘ったるく
応じていた。

極東アジアから来た、よくわからん小娘の私にも
気を使っていろいろ話しかけてくれた。
といっても、
日本人てタコ食べるんでしょ?
イカも食べるよね。
たぶんそのふたつって味似てるんじゃない?
みたいな会話だった。

で、そのときに出されたごはんが
何やら葉っぱに巻いてある
冷えた酸味のある米と
野菜のみじん切りで
ギリシャ料理だよって言われた。
そしてにこにこしながら
it's Greek to me,って言い回しを
教えてくれた。
ぜーんぜんわかんない!って意味。
おもしろいなとおもった。
すっぱいお米はそんなにおいしくはなかった。

たぶん、日本人は米食べたがるよねって
思っててくれたんだとおもう。
カレーにもインディカ米を
レンジで加熱したやつを添えてくれたし。
ちょっとそういうんじゃないんだよ、って、わざわざ「あきたこまち」を
日本食材屋で手に入れてきて
鍋で炊いて酢飯にしてツナとスモークサーモン乗せてちらし寿司をふるまったら
とっても困惑しながら食べていた。

英語学校のクラスメイトのイタリア人は

うちのステイ先じゃあ、毎日スパゲティが出るけど、
イタリア人は別に毎日スパゲティ食べてませんから!って笑ってた。
そうなの?!って驚いたら、ちょっと気を悪くしたみたいだった。

ドーバーはさんではるか昔から
なにかっていうといがみあってた
フランスのことを
イギリス人は「カエル喰い」って嘲笑するし
対してフランス人はイギリスを
「ウシ喰い」って冷笑するんだそう。
(いやでもフランス人も食べるよね?ウシ。)

食文化って興味深い。

先日友達に連れていってもらったギリシャ料理店で
何十年ぶりかに再会した、葉っぱごはん。
ブドウの葉(ギリシャは質のよいワインの産地でもある)を酢をいれたお湯でゆがいて、
オリーブオイル、にんにく、パセリと炒めた米を巻き込み、
レモンを効かせて蒸し煮する。
あつあつでもっちり。
以前食べたのと、なんだか全然違うものだ。

ギリシャは海の幸と山の幸
どちらにも恵まれた食環境にあるそうだ。
多用するのは魚介、じゃがいもやなすなどの野菜、
オリーブオイル、にんにく、スパイス、
レモンなど。
かつて属していたトルコの影響で
ディップの類いがたくさんある。
また、海を越えればエジプトはすぐだし、
いろんな地域の食べ物が混在している。
そして単一民族、98パーセントが
クリスチャンということから
いわゆる禁忌の食材というものがない。
牛も豚もなんでも来いである。

人々は昼になるとごはんをわんさか食べ、
二時間くらい昼寝し、起きて働いて、
夜10時くらいからまたわんさか食べる。朝はそんなわけで、おなかが空いてないのだそう。
あんまり健康的ではない。

国政的には、6年前に借金隠してEU加盟したはいいが、
あっという間にばれて、窮屈な暮らしを強いられるなか
そもそもがゆるっとしてるので
借金の回復期限を延ばしてよーとだだこねたり
そういえば昔の借り返してよドイツーと
ほじくり返したりしてるそう。
働いてる人の4分の1が公務員で
給料は組合で上げ放題っていうのも
不思議な仕組み。

真っ青な海を眺め、美味しいものを食べ、楽しく生きる。
そんなかんじなのかなあ。
それは理想的だけど
他人のお金でそれやるのって
よくわかんない。

でも、日本だって、
身内からか、他所からかの違いだけで
借金まみれな国であることに
変わりはないんだよな。

おなじ葉っぱにごはん巻くんでも
桜とあんこの国でよかったとは
おもうけど。

スイーツに関しては、ギリシャでは
食後のデザートという感じではなく
間食として甘いものを食べるそう。
中東の色が濃い、糖度のめちゃ高い油っぽいお菓子。
だいたい何にでもシロップをべしゃべしゃにかけて仕上げるらしい。

通ってるフランス菓子の教室でも
生地にシロップべしゃべしゃって
よくやるけれど、あんなもんじゃない。
ショソンオポムの焼き上がりに
照りのためにひとはけ塗るんじゃなく
そのままどぼーんと漬け込むみたいなもん。

おそらく、シエスタから覚めて
おやつ食べてやっと脳みそに
糖がまわって働き出すんだろうな。
もう半日終わってるけど。

彼の地に立つことはほぼないと
思うけど
チャリ20分も漕いでこのお店に来て
あれこれ食べるだけで
新しい旅をしたような
過去の旅をふりかえるような。

もっかい、世界史と英語
おさらいしよっと。
時間はあるが金はない連休に
ぴったりな遊びを見つけた。