雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

誕生会

2010年12月08日 | ちいさな幸せ
息子の通う特別支援学校高等部では、月に一度、
その月生まれの生徒を祝う誕生会が開かれます。

そこではバースデイボーイズ&ガールズが
「一芸披露」をする決まりです。
これまでにも、少林寺拳法、ピッチング、PCキーボードの
早打ち、手作り紙芝居の披露、ウルトラマン知識の披露、
キーボード演奏、それはそれはいろいろあったのですが

12月生まれの息子、担任の先生と相談して決めてきたのは
歌と「アナウンスの真似」。

バス車内のアナウンスをそっくりそのまま再現するのは
息子の楽しみでもありと特技でもあり、これは
納得いったのですが、

自分から「歌を歌う」と言ったのは正直びっくりでした。
息子は耳がよく、宇宙語しかしゃべっていない頃から
カセットテープに合わせてとてもきれいに
童謡を歌っていましたので、音程やリズムが
正確であることはわかっています。

でも、本人にとって「人前で歌う」のはとても抵抗がある
ことのようで、他人が見ていないところでは歌っていても、
人が見ているとわかるとぴたっとやめてしまうことが
よくありました。

小学校時代の音楽会や、中学校の合唱コンクールでも
きちんと歌ってはいましたが、1人で歌わせると
蚊の泣くような小さな声になってしまいます。

あれほど息子の心をいつも汲み取り、支えてくれた
中学時代の担任K先生でさえ、彼が「普通の大きさの声」で
人前で歌うのを初めて聴いたのが3年生のときで

「こんなに歌がうまいとは知らなかった」と
べた褒めしていただいたものです。

その息子が、高等部の3学年の生徒と先生が揃った
その前で、1人で歌を披露するというのです。
それも、2曲。
1曲目は「高原列車は行く」。言わずと知れた
昭和の名曲ではありますが、どうしてこんな昔の曲を
知っているのかというと、You Tubeにこの曲と
機関車トーマスの映像を組み合わせたビデオが
投稿されていて、すっかりお気に入りになったようです。

2曲めはお気に入りの英語の曲のCDから「おお、スザンナ」を
もちろん英語で。

はてさてどうなるのか、と気をもんでいましたが、
結果から言うと、ハンドマイクの助けもあり、とても
上手にこなせたようです。

中学校時代は英会話の授業には参加していましたから、
息子が英語ならそこそこしゃべれることを知っている
仲間はたくさんいましたが、

今の高等部には息子が英語を理解できることすら
知らない人がほとんどですから、

日頃、細い小さな声で、日本語すらたどたどしく
話す息子が、まさかこんな風に歌えるとは思われて
いなかったらしく、

普段の息子を知っている人、特に音楽の先生には
とてもびっくりされたようです。

みんなからずいぶん褒めてもらったのでしょう、息子は
「おかあさん、ぼく、歌も英語もとっても上手なんだよ」
とご機嫌でした。

ちょっとずつ殻を破って、私の知らない力を
つけていく息子。
頼もしいやら、ちょっと寂しいやら。
障碍があっても、やっぱり高校生男子なんですね。

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