雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

大原麗子さん

2009年08月07日 | CIDP
女優の大原麗子さんが亡くなりました。
あれだけ綺麗で華やかな人が、誰にも看取られずに息を引き取って
この暑さの中、そのまま2週間以上も気づかれずにいた…
あまりにむごすぎる最期に、胸が痛みます。

今日のワイドショーもニュースもその話で持ちきりでしたが
彼女は長年にわたってGBS(ギラン・バレー症候群)を
患っていた、と報じられていました。

でも、私には、彼女はGBSというよりCIDP患者だったのでは
ないかと思えてなりません。

GBSとCIDPはどちらも免疫システムの異常で
末梢神経が侵され、まず手足が動かなくなり、麻痺が
呼吸筋に至ると命が危うくなる、という点では
共通する病気です。

違うのは、GBSが短時間のうちに急激に発症するのに対し
CIDPの発症は緩やかで、時には何年にもわたって徐々に
麻痺が進行すること、

GBSは発症から4週間以内に症状がピークを迎え
以降は快方に向かうとされているのに対し、
CIDPは6週間以上にわたって症状の進行が進むこと

GBSから一度回復した場合の再発率は非常に低いのに対し
CIDPは再発を繰り返したり、慢性に進行したりする、と
いう点でしょう。

紛らわしいのは、CIDPの中にも亜急型と言って
私のように発症から1週間程度で両手両脚にはっきりした
麻痺が現れるケースで、

私自身がそうだったように、このような症例では
まずGBSと診断されることが稀ではありません。
けれども、免疫グロブリン療法で一旦ある程度まで
回復していた筋力がまた数週間後には低下し始める、という
再発・再燃を3度繰り返した時点で

私の診断名はGBSからCIDPに変更になりました。

大原麗子さんのように何度も何度も良くなったり悪くなったりを
繰り返すケースは、むしろCIDPといったほうが
良いのではないかと思うのです。

私が入っているCIDPの患者会の会員さんの中でも
私のように初診日から免疫グロブリンを受け、
初診から2ヶ月でCIDPの確定診断を受けたというような
ケースは非常に稀で、

多くの人は診断も有効な治療も受けられないまま
何年もかかってドクターめぐりをした挙句に
ようやく診断がついたという人が少なくないのです。

昨年、大原さんが転倒して骨折したというニュースが流れたときに
「あんなに何度も再発する、っていうのは、
 GBSじゃなくてCIDPなんじゃないでしょうか」と
主治医に疑問をぶつけてみたら

「まあ、直接診察してみないことにはなんとも言えないけれど、
 可能性がないとは言えないねえ」
との答でした。

GBSは知る人ぞ知る、という病気ですが
CIDPとなると、神経内科の専門ドクターでなければ
名前すら知らない、ということもあるのです。
正しく診断ができるドクターにかからなければ
QOLが著しく侵され、神経に不可逆なほどの損傷を受けるまで
有効な治療が受けられないこともあります。

今日の9時のNHKニュースでは独協医大の小鷹先生の
コメントで
「再発を繰り返したり慢性のケースもあるので」
と短く紹介されただけでしたが、

せめてこの機会にGBSが大々的に紹介されることで
GBSとCIDPが世に知られ、まだ光のあたっていない人たちに
光があたることを願ってやみません。

最期になりましたが、大原麗子さんのご冥福を
心からお祈りします。