狐、象など野生の動物は身の回りに死の恐れは常にある。医術の術はなく、ただ死んでいくものの周囲を動き回り鼻で体をさするだけだ。何もできずに死を見守るだけしかない悲しさだけがにじみ出て居るように思う。今日のテレビのドキュメンタリーでもその情景があった。
それを見ながら妻を送った時をおもいだしていた。低く名前を呼びながら手を握る、頬にそっと触れる。大声を出して泣くこともなく、おろおろと静かに妻の死と向き合って居るように周囲には見えたと思う。だが、心のうちは悲しかったし切なくやりきれなかった。
先ほど見たドキュメンタリーの死んだ狐の子に接する母狐の心を想像した。
人間も年老いた者が愛する者と別れるときは獣のそれと似たものなのかもしれない。