入院中の私のベッドの隣りに脳梗塞を患った50才代の人が入院してきた。車椅子とベッド間も看護師に抱き抱えられての移動だった。
だが、その人は自分で物事をしようと頑張っている。立ち上がって戸棚から物を取り出そうとしたり、床に落とした物を自分で拾おうとしたりする。よろめいては戸棚の方に倒れたり前のめりに倒れそうになってやつと体を支えたりしている。
それを見つけるたびに看護師が厳しい声で、「呼んでください」と言っている。
脳梗塞という突然の病に 身体の反応と意識が噛み合っていないのだろう。若い人ゆえにこのくらい大丈夫という思いが強いのだろうが気の毒でならない。
看護師も患者に怪我をさせまいと気を使っているのだ。病人はプライドを捨て病を直すことに専念してほしいと思った。
ちなみに私は看護婦に従っていた。