負の遺産

急いては事をし損じる。と言われますが、確かに性急に物事を行ったり、
間に合わせのやっつけ仕事では直にメッキが剥がれ、解れがでたりする。

つまりそれは私達人類が近年確立させた資本経済至上主義のあり方が、
国家や民族間、文化や思想宗教さえも包括、全てに席巻し及んだことで、
それまで堅持してきた精神的価値観も同時に覆したことを意味している。

資本経済至上主義のあり方は、不必要な整備や拡充を繰り返し推し進め、
有効な資源は短期無計画に取り尽くされ、後には負の遺産だけを残した。

マネーを稼ぐ為には魂さえも売り払い、濡手で粟的な粗造乱発へと誘う。
その弊害は、生命の尊厳や自然の営みそのものを踏みにじる結果となり、
社会がマネーの価値観のみで成立し、それに縛られ操られるようになる。

魂を込めてゆっくりと創られしものは、悠久の時を変わることなくあり続け、
利益追求が為に創られしものは、無駄な浪費を重ねるだけで短命となる。

急いては事をし損じる。功名と利権を欲し、刹那の栄誉栄華を得た代償は、
足元にありし尊きもの、長く培われた真実さえも滅びることになり兼ねない。