ぶつぶつ地蔵

地蔵 呟く ひーの言葉を。ぶつぶつと…。

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高野聖と旧杉山邸

2005-09-04 03:26:44 | 舞台関係
9月3日。場所は富田林市にある旧杉山家住宅にて、林英世さんのひとり語りが行われた。
歴史的建造物と文学作品とのコラボレーションである。
今回の作品は『高野聖』
西陣ファクトリーで一度聞いた作品である。今回はどう聞こえるのか・・・非常に楽しみ。

近鉄の富田林駅を下りて、先ず私がした事は・・・駅前にある和菓子屋さん『柏屋葛城堂』にて和菓子を買う事。
電車に乗ってて見えたんだよね。地元の御菓子司の御菓子は買う事にしてるから(笑)
英世さんへの差し入れは、別のトコロで買っていたので、ココの買い物は自分の為~(なんてやつ

初っぱなから寄り道で始まったけど、後は本町通を真直ぐ行くだけ。

古い街並が私を出迎えてくれる。
富田林って来た事がなかったけれど、富んだ田と林とかくだけあって、きっと裕福な土地だったんだろうなぁ。。。と思わせてくれる街並だった。
織田作之助の碑のある公園の近くの派出所にいらっしゃるお巡りさんは、実に感じの良い人だった。
街の風景を携帯で写してる私に、「こっちにもいい場所あるよ」と親切に教えて下さったのだ。
もっと時間に余裕を見て来れば良かったと。今も生活をされているので、見学は出来ないお家ばかりだけど、ゆっくりのんびり町中を歩いたら楽しかろうなぁ・・・今度リベンジせねば。
そんな中、唯一公開されているのが重要文化財の旧杉山家住宅である。
18世紀初期に作られた旧杉山家。奥座敷から見るお庭も素晴らしいし、欄間の彫り物も素晴らしい。釜屋は今で言う炊事場かな~?大きなおくどさんが設けられていて、手桶なんかもあったりして・・・釜屋は暗くて写真が撮れなかったけど、こういう昔の家屋の作りって見ていると楽しい。
 奥座敷を眺めて写したもの。
2階もあり、ココからの眺めもなかなかである。  鬼瓦もちゃんとあって、睨みを利かせております。
ちなみに、こんな物も写してみました~。何か解りますか~? ・・・そう。厠です。四角く切り抜いただけの『穴』(女子用)と傘立てカイ?と言いたくなる『木箱』(男子用)があるだけなんですねぇ。まぁ、現在は使われていませんが。・・・そう言えば、京都の志る幸さんのトイレも似た感じだったなぁ。今でもそうかしらん?

お家の中をゆっくり見学させて頂いてから、英世さんの語りを聞く。

高野聖
修行中の僧が歩き疲れて一夜を乞うた山の中の家。そこに住まう女と坊(と呼ぶにはトウが経っているが)。その時に体験した不思議。その部分を語る。
入り口を入った所の土間が客席だ。その向い。ダイドコと呼ばれる部屋に灯りをともし、そこに英世さんが座る。
18:30からスタート。陽も暮れ、薄暗くなった空気に錫杖の鳴る音が土間に響き渡り、英世さんの声が染み込む。
普通の劇場や西陣ファクトリーのように隔離された空間ではない。大きな旧家全体が舞台なのだ。
庭に面した扉が開け放たれているので、虫の音も音響の一つである。
聖が宿を乞うた女と共に沢から戻って来た所のシーン。語りがもっとも熱くなる所。
ゴロゴロゴロ・・・と鳴り、すぅ・・っと風が通る。遠くで犬が哭き、車のライトが格子の入った窓から土間を照らす。

何が違うのだろう。
英世さんのブログに書かれていた英世さん自身の『違い』なのだろうか。
それとも、場所の持つ空気の『違い』なのだろうか。
それとも、私がの捉え方の『違い』なのだろうか。。。
ともかく、前回西陣ファクトリーで聞いた時の高野聖とは何かが違うのだ。
強いて言えば・・・
前回は、危機迫る迫力のシーンに、ドキドキを感じながら聞いた。それが今回は、迫力の中に『静』を感じた気がする。激しいシーンであればある程、静かなのだ。

聞き終えた後の余韻の良さは、この家ならではの感覚だろう。非常にじわんとした気分であった。

以前、和菓子とお寺の間のコラボを見に行った事がある。テーマに添って、お部屋に合わせて、和菓子を創作し展示するのだ。随心院で見たんだけど。その時の感動に少し似ている。と思った今回のコラボ、建造物と語り。
すごく馴染んで、不思議な時間を体験出来た。
次回はラストの細野ビルヂング
9月9日。重陽の節句に江戸川乱歩の『芋虫』を語られます。
大阪、西長堀です。お時間のある方は、是非、この不思議な時間を共有しに来ませんか?
詳しくはこちらまで。

細野ビルヂングでは、どんな空間を作り上げてくれるのでしょう。楽しみです。