ぶつぶつ地蔵

地蔵 呟く ひーの言葉を。ぶつぶつと…。

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ジプシー

2005-09-14 02:27:18 | 問わず語り(マンガ・本・アニメネタ)
今回は戯曲の紹介。
作:横内謙介 ジプシー ~千の輪の切り株の上の物語~

遠い昔、静かに張りつめた水面に、小さな一滴の雫か落ちた・・・・すると張りつめた水は揺れ、雫の周りに、一つの小さな輪ができた・・・・そして、その小さな輪は、幾重にも連なる波紋となって、遠く、大きく、広がっていったのじゃ・・・・すべてのはじまりは、ただの一滴の小さな雫だった・・・・その雫の命が、季節の巡り来るたびに新しく描かれる輪から輪へ、託され、伝えられたのじゃ・・・・
ワシらのはじまりの家族がここにいた・・・・それはもはやワシらの心の中の思い出からは消え失せ、ただこの身の中にだけ生き続けている、ワシらにとって一番最初の小さな雫じゃ・・・・そして、その雫の命を受け継いだ子供達の家族がいた・・・そして、また次の子供達の家族がいて・・・その子供達の家族がいて・・・その、終わりない繰り返しの果てに描かれた千の輪の切り株の上に今、ワシたちはいる・・・・     (ジプシーより抜粋)


私が初めて観た善人会議(現在の扉座)の芝居である。善人会議を見る切っ掛けは『きらら浮世伝』という作品で、上演したのはM.O.P.だった。この芝居を切っ掛けに、善人会議を見るようになったのだ。
数ある横内さんの作品の中で、多分、一番好きな作品がこれ『ジプシー』
ラストで語られるセリフも大好きだ。

「思い出がたくさん眠っているところには、思い出になるようなことがたくさん起こるものだ。」

悲しいは悲しいを呼ぶ。嬉しいは嬉しいを呼ぶ。思い出は思い出になる事を呼び、私たちはそれをたくさん心に重ねて『自分』という樹を大きく育てる。
感じた事は全部年輪として刻まれる。同じ刻むなら深くしっかり密に刻みたいではないか。

作品の中にレーナウの「三人のジプシー」と言う詩が出て来る。最後の部分
「三人とも昂然と胸をはり 何も囚われずにこの世の中の運命を無視していた」
世の中の運命ではない。自分の運命を昂然と進むジプシー。


現在扉座の公演レパートリーには入っていない作品。仕方がないので、たまに戯曲の頁をめくって、いろんなシーンを思い出す。
心の中に焼き付いた舞台を思い出しつつ・・・



イラストはね、久々に描いてみた。パソコンで。
影響されやすいの、ワタシ。
千の輪の切り株のイメージです


・・・・ちなみに没ネタはこちら・・・

こっちは、『も♪っちゃまの石・naoSIDE』になるはずだったもの。なんか、足りないの。なんじゃろね?